内容紹介
私は彼女の事を何も知らなかったのか...?大学へ通うために上京してきた春海は、京都からきた麗子と出逢う。お互いを干渉しない約束で始めた共同生活は快適だったが、麗子はやがて失踪、跡を追ううち、彼女の二重、三重生活を知る。彼女は名前、化粧、嗜好までも替えていた。茫然とする春海の前に既に死体となったルームメイトが...。

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📝 レビュー (あおみさんのレビュー)
評価:
2/5
レビュー:
物語としては面白かった。
ミステリーとしてもよかったと思う。真相とは異なる方向へ読者を導く技術、真犯人の意外性、そして意外性だけでなくきちんと辻褄を合わせているところなどは評価に値する。
しかし、どこかご都合主義な部分が目立った。
登場する青柳麻美が多重人格者で、麻美というホスト人格に加えてマリ、サリー、麗子、由紀という4つの人格を持っていたという点も些か腑に落ちないというか、あまりにも物語を進めるにあたって都合がよすぎるのではないかと感じるが、この点については私は特に嫌な印象は抱いていない。
反対に、よくこんな無茶な設定なのに物語として確立させてる著者の手腕に驚き、感動しているほどだ。
私が述べたいご都合主義的部分はここではない。
それは、最後のモノローグである。
文庫化するにあたって著者はこのモノローグ4を消すかどうかを悩んだとあとがきに記してあった。私は、このモノローグは消すべきだと思った。
最後の数ページで本作の評価は落ちた。
ここで小説、特にミステリー小説の評価を下げる要因として、影響の大きいものを述べたいと思う。飽くまで私個人の考えであるが。
1.語り手が真犯人。
これは絶対にしてはいけない手法だと思う。確かにそれこそ最大の衝撃かもしれないが、全てを知った上で犯行に及んでいたり、茶々を入れることで物語の進行を遅らせることが容易にできたりする。そして何より解決する側と犯人とがフェアでない。それが最も許せないと感じるのだ。
2.辻褄の合わない、原因不明の出来事。
物語としては、こうなっていたら面白くなると思う要素があるかもしれないが、あることが起こった原因を述べなかったり、「原因不明だが起こった」などと記したりすると、私は興醒めしてしまう。所謂、裏付けがない事象は都合がいいように作り上げた設定でしかないと感じてしまうのだ。
3.多重人格
この設定が気に喰わないと感じるのは、物語の結末まで設定を明かさなかったときである。例えば本作では主人公の一人が、先程も記したように5つの人格を持っていたが、それは物語の中盤で明かされていた。さすがに5つはやり過ぎだと感じ、すんなり腑に落ちることはなかったが、なんとか飲み込めた。しかし、誰が考えてもその人物の人間性と合わないのに「多重人格だから。」と言われたらし、こちらとしてはもう何も反論できない。急に物語から外された気がしてならないのだ。
以上の3つが読む気を失せさせる要因である。
本書はこれら全てを含んでいた。
なお、3つ目に関しては上記のように見逃せる程ではあったが、特に2つ目の要因を孕んだ箇所が目立った。
それこそ、モノローグ4である。
だから、消せばよかったと思ったのだ。
しかし、その前の第三章でモノローグ4で語るであろう伏線は張ってあるので、そこだけを消しても、「じゃああれは何だったんだ」となるからいけない。
後半4分の1くらいに修正を施さなければならないと思う。
モノローグ4さえなければ、と思う。
あとがきで執拗に語った、後味の悪い結末でもなかったのも残念だった。
しかし、2013.11.9には本書の映画が公開される。PVを見てる限り、小説版とは内容が異なる箇所がいくつか見られるので、非常に楽しみである。
ネタバレ
青柳麻美は多重人格者。5つの人格を持つ。
アメリカ人、マリ、武原が死ぬ。
誰が犯人だ?
青柳麻美の中の西村麗子とルームシェアをしていた萩尾春海と、萩尾が通う大学の先輩である工藤は真相を解き明かそうとする。
犯人は春海の中にいた春海の兄だった。
そう、春海も多重人格者だったのだ。
数年前、兄を交通事故で亡くした春海は兄の人格を自分の中に作り上げた。
その真相を解き明かした工藤は春海の中の兄を呼び出し、説得する。
そして兄は春海の中から消えることを約束する。
(ここからがモノローグ4)
実は春海の中には兄の他にもう一つの人格が形成されていた。
それは工藤だった。
春海の中の工藤は、春海を使っていつか本物の工藤を殺そうと考える。
世界に同じ人間はいらない、と言って。
よくわからん。笑
ミステリーとしてもよかったと思う。真相とは異なる方向へ読者を導く技術、真犯人の意外性、そして意外性だけでなくきちんと辻褄を合わせているところなどは評価に値する。
しかし、どこかご都合主義な部分が目立った。
登場する青柳麻美が多重人格者で、麻美というホスト人格に加えてマリ、サリー、麗子、由紀という4つの人格を持っていたという点も些か腑に落ちないというか、あまりにも物語を進めるにあたって都合がよすぎるのではないかと感じるが、この点については私は特に嫌な印象は抱いていない。
反対に、よくこんな無茶な設定なのに物語として確立させてる著者の手腕に驚き、感動しているほどだ。
私が述べたいご都合主義的部分はここではない。
それは、最後のモノローグである。
文庫化するにあたって著者はこのモノローグ4を消すかどうかを悩んだとあとがきに記してあった。私は、このモノローグは消すべきだと思った。
最後の数ページで本作の評価は落ちた。
ここで小説、特にミステリー小説の評価を下げる要因として、影響の大きいものを述べたいと思う。飽くまで私個人の考えであるが。
1.語り手が真犯人。
これは絶対にしてはいけない手法だと思う。確かにそれこそ最大の衝撃かもしれないが、全てを知った上で犯行に及んでいたり、茶々を入れることで物語の進行を遅らせることが容易にできたりする。そして何より解決する側と犯人とがフェアでない。それが最も許せないと感じるのだ。
2.辻褄の合わない、原因不明の出来事。
物語としては、こうなっていたら面白くなると思う要素があるかもしれないが、あることが起こった原因を述べなかったり、「原因不明だが起こった」などと記したりすると、私は興醒めしてしまう。所謂、裏付けがない事象は都合がいいように作り上げた設定でしかないと感じてしまうのだ。
3.多重人格
この設定が気に喰わないと感じるのは、物語の結末まで設定を明かさなかったときである。例えば本作では主人公の一人が、先程も記したように5つの人格を持っていたが、それは物語の中盤で明かされていた。さすがに5つはやり過ぎだと感じ、すんなり腑に落ちることはなかったが、なんとか飲み込めた。しかし、誰が考えてもその人物の人間性と合わないのに「多重人格だから。」と言われたらし、こちらとしてはもう何も反論できない。急に物語から外された気がしてならないのだ。
以上の3つが読む気を失せさせる要因である。
本書はこれら全てを含んでいた。
なお、3つ目に関しては上記のように見逃せる程ではあったが、特に2つ目の要因を孕んだ箇所が目立った。
それこそ、モノローグ4である。
だから、消せばよかったと思ったのだ。
しかし、その前の第三章でモノローグ4で語るであろう伏線は張ってあるので、そこだけを消しても、「じゃああれは何だったんだ」となるからいけない。
後半4分の1くらいに修正を施さなければならないと思う。
モノローグ4さえなければ、と思う。
あとがきで執拗に語った、後味の悪い結末でもなかったのも残念だった。
しかし、2013.11.9には本書の映画が公開される。PVを見てる限り、小説版とは内容が異なる箇所がいくつか見られるので、非常に楽しみである。
ネタバレ
青柳麻美は多重人格者。5つの人格を持つ。
アメリカ人、マリ、武原が死ぬ。
誰が犯人だ?
青柳麻美の中の西村麗子とルームシェアをしていた萩尾春海と、萩尾が通う大学の先輩である工藤は真相を解き明かそうとする。
犯人は春海の中にいた春海の兄だった。
そう、春海も多重人格者だったのだ。
数年前、兄を交通事故で亡くした春海は兄の人格を自分の中に作り上げた。
その真相を解き明かした工藤は春海の中の兄を呼び出し、説得する。
そして兄は春海の中から消えることを約束する。
(ここからがモノローグ4)
実は春海の中には兄の他にもう一つの人格が形成されていた。
それは工藤だった。
春海の中の工藤は、春海を使っていつか本物の工藤を殺そうと考える。
世界に同じ人間はいらない、と言って。
よくわからん。笑
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