メニュー
増山超能力師事務所

増山超能力師事務所

誉田 哲也

この本の所有者

7人が登録
64回参照
2013年10月25日に更新

書籍情報

ページ数:
318ページ
参照数:
64回
更新日:
2013/10/25

この本を共有する

📝 レビュー (あおみさんのレビュー)

評価:
4/5
レビュー:
久々の読了だった。
最近小説でないほかの読み物に時間を費やしていたため、約3ヶ月時間が空いた。

それでは本書の感想に移る。
本書は全7章で構成される短編集である。しかし、物語の時間軸ははっきりとしており、後半に進むにつれて事象も変化していく。
つまりただの短編集でなく、それぞれの話は繋がっているということだ。

私は第一章を読んで、正直駄作だと感じた。超能力の勝手の悪さ、物語の結末、取り扱った事案。それらが趣味と合わず、なんだこれは、と思ってしまった。
しかし、さすがに読まないのは勿体無いと思い、渋々二章へと進んだ。
するとどうだろう。急に物語の深み、登場人物の人間さ、物語としての面白みが増したのだ。
もしかしたら本書は、刊行される以前、例えばどこかの新聞や雑誌で連載されていたものが一冊になったものなのかもしれない。
だとしたら著者としても一章を書くにつれて次第にイメージが深まってきたのだと考えられる。
とにもかくにもそこからは非常に楽しんで読むことができた。

念動力や念写、媒介感受などの超能力をもつ超能力師たち。彼らが様々な事案に対して探偵として働く。一見すれば超能力師なんだからどんな問題でも、容易く解決できるのではないかと思うが、実はそうではない。
本書の面白さは間違いなくそこにある。
とどのつまり全ての解決すべき問題は、人間と人間との心が関わっているのだ。そんな複雑な問題に対して超能力ができることなんてたかが知れている。
ユニークな人物たちが勤める増山超能力師事務所の所長、増山圭太郎はこんな言葉を残している。
「超能力なんてそんな便利なものじゃない。」
現実にそんな能力を持ってないからこそ憧れるが、本書を読めばもしかしたら増山の言う通りなのかもしれないと思う。そんな特異な力を持つために、人一倍怪しまれたり、君悪がられたり、悪者扱いされたりする。
彼らも後々そんな面倒があると知っていたなら、こんな能力を望まなかっただろう。
しかし、彼らはそれらの苦渋を味わいながらも自身の能力を社会貢献に役立てようとした。
ただ単に金持ちになろうとすれば容易になれたというのに。彼らはこれまで虐げられてきた一般人や社会に認められる道を選んだのだ。
そこにこそ、彼らの人間としての素晴らしい部分があると私は思う。
当初は表紙が「The world of golden eggs」と同じ描き方のキャラクターというだけで購入したが、思いがけない良作であった。
ただ少し、物語を盛り上げるために無茶な設定をしていたことが評価を一つ下げる要因となった。
例えば、半陰陽(いわゆるふたなり)の姉妹が家庭にいることや、同性愛者や性同一性障害者が複数現れること、である。

ログインが必要です

この本をレビューしたり、読書進捗を記録するにはログインが必要です。

ログイン

AIが見つけた似た本

「増山超能力師事務所」の文章スタイル、テーマ、内容を分析し、 類似度の高い本を10冊見つけました

78%
【超】WORK HACKS!
76.3%
TIME HACKS!

TIME HACKS!

小山 龍介

10人 3
75.9%
読書力 (岩波新書)
75%
STUDY HACKS!

STUDY HACKS!

小山 龍介

9人 4.3
74.8%
秘伝すごい会議

秘伝すごい会議

大橋 禅太郎

1人 4
73.8%
紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)

紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)

片山 憲太郎

揉め事処理屋を営む高校生・紅真九郎のもとに、とある少女を守るという依頼が舞い込んできた。少女の名は、九鳳院紫。世界屈指の大財閥の御令嬢。詳しい事情を聞かされぬまま、真九郎は紫との共同生活を開始。彼女の...

6人 5