
内容紹介

📝 レビュー (あっぷるすーぷさんのレビュー)
また、この物語はナズナからの立場と桑原くんの視点からが、交互に語られている口調である。桑原くんの家庭や長谷川コトミとの恋沙汰などこれまた面白いところがたくさん。この物語で気に入ったところはそういった豊かな人物像はもちろん、歌声の描写がとても鮮明で色鮮やか、綺麗なところ。例えば、
「おなじ曲でも、男性的だったり、女声的だったり、力強かったり、やわらかかったりする。歌声が虹のようにあざやかな色に感じられるときもあれば、どこまでも純粋な白一色に感じられるときもある。……それはまるで宝石を磨くように、不純物を取り除いて純粋なものに近づけていく行為だった。」
「音の粒が、声の波が、圧倒的な透明度で私たちのもとに届いた。」
「複数の人間の声が、織物のように世界を紡ぎ上げていた。伴奏と人間の声だけで、音楽のうねりが作り出される。複数の合わさった声は、個人の気配を消して、音の巨大な生き物を生み出していた。神話で語られるような大きさと神々しさの音楽の生き物だ。」
とかとか、綺麗だし、壮大だし、感動した。
謎もいくつかある。
自由曲のタイトルは?向井ケイスケの恋の結果は?ナズナのその後の男嫌いは?長谷川コトミと桑原くんの関係は?などなど。想像できるところも良い。
合唱部の頃が思い出されて懐かしくなった。練習風景とか、仕方とか、パート練とか懐かしい。先生いないとだらけるのもわかる。
課題曲が手紙だから、みんな15年後の自分に手紙を書く宿題が与えられて、自分自身と向き合って葛藤している感じが青春でいい。
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