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ギフト (双葉文庫)

ギフト (双葉文庫)

この本の所有者

(4.5)
6人が登録
42回参照
2012年1月29日に更新

書籍情報

ページ数:
440ページ
参照数:
42回
登録日:
2012/01/29
更新日:
2012/01/29
所有者:
なか なかさん

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内容紹介

その少年に目が留まった理由は、ただ一つだった。こぼれ落ちる涙を拭おうともせずに、立ち尽くしていたからだ。それもホラー映画の並ぶ棚の前で。しかも毎日。―ある事件がきっかけで、職を辞した元刑事の須賀原は、死者が見えるという少年・明生と、ふとした縁で知りあった。互いに人目を避けて生きてきた二人。孤独な魂は惹かれ合い、手を結んだ。須賀原と明生は、様々な事情でこの世に留まる死者たちの未練と謎を解き明かしていく。ファンタジック・ミステリー。
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モチーフやストーリー自体に目新しい部分は正直見当たらない。心に傷を抱える元刑事と死者が見えてしまうが故に1人で生きていくことを心に決めた少年とが、様々な死者と出会い、その魂を救っていくコトで各々の傷を癒していくという結構ベタな展開。。。。
しかし、不器用な人物像を巧みに描く日明さんだけに、今回も元刑事である須賀原の不器用さが絶妙に描かれており、実直故に抱え込んでしまっている心の痛みや苦悩がひしひしと伝わってくる。また、心情を変化させていくエピソードの構成も見事で、徐々に、そして無理なくエンディングまでもっていき、読了後に爽やかな余韻を残すような作品となっている。

作品そのものは連作となる短編から成り立っており、それぞれの短編では死者が救済されていく様が描かれている。
死者の死因も色々なケースではあるものの、背景には死者本人や関係者の心の闇が潜み、それらを須賀原が元刑事としての職業病を活かして浮き彫りにしていく。須賀原と少年は死者との交流を含め、不器用なりに心の闇を解消していくのだが、その過程にはほのぼのとしたストーリーもあれば結構ヘビーな展開もあったりしてバリエーションにも富んでいて飽きさせない。

等々と、短編単体のクオリティも然ることながら、主軸となる2人の展開も死者を救済する毎に距離感を詰めていったり、各々の抱える悩みを和らげたりして、それぞれのエピソードを巧く絡めた進展が成されていく。
2人が出会い、理解し、そして旅立つまでの物語がスムーズに染み込んでくるし、表題の「ギフト」にもしっくりくる展開が良かったかと。。。
…卵を弁償する日がくることと、その時の2人を妄想する愉しみも残してくれたしで。。。。

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