我思うゆえに我あり 死刑囚・山地悠紀夫の二度の殺人
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なのだけど、、
結局、なにも分からなかった。
山地悠紀夫は何も語らないままこの世を去ってしまって
だからなぜ?どうして?というやり場のない悲しみと問いかけだけが、彼と関わった人の中に残った。
徹底的に心を開くことを拒否していた彼だけど、
数度だけ、チラリと心の奥底の叫びを覗かせることがあった。
「僕をわかってほしい」「自分は生まれてくるべきではなかった」
そして携帯電話に残っていた江崎美幸の電話番号。
たったひとことだけの言葉、たった一行だけの描写。
それだけなのに、胸がしめつけられる思いがした。
山地の目には、この世の中はどんな風に映っていたんだろう。
どんな孤独を抱えていたんだろう。。
結局最後まで、山地は母親の影にとらわれていたのか?
16歳のあの夏から逃れることができなかったのか。
彼の人生とは、いったいなんだったんだろう。
本や映画で人の人生を知るとき、わたしはどうしてもそこに意味を見いだしたくなる。
人に物語を求めてしまう。
この行動の裏にはこんな気持ちがあったはずだ。
今までのこんな経験が、この言葉を言わせたはずだ。
それにならって、山地のことを考えていた。
16歳の時の恋が、彼に希望と絶望を教えた。とか、
愛情に恵まれなかった幼少期のトラウマが・・・とか、
やっぱり情緒障害が・・・とか。
でもなんかしっくりこない。
言葉で簡単に説明できる意味や物語なんて浅はかな後付けにすぎないって正面から否定されたような。
どんなに言葉を並べても、彼が本当に抱えていたものを推し量ることはできない。
誰も本当には理解できなかった。彼を。
そんな重い重い闇と、新聞の切れ端みたいに軽い命を抱えてこの世界を漂流して、そして死んでしまった。
こんな人生があった、という事実に、ただただショック。