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絶望同盟 (一迅社文庫)

絶望同盟 (一迅社文庫)

十文字 青

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この本について

ロリコンである自分に絶望している。―当真ネンジ。女としての自分に絶望している。―蓮井カオル。世界すべてに絶望している。―木羽ミキオ。なんとなく絶望している。―雫石サナ。第九高校で絶望する、はみ出し者4人の青春ストーリー。

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レビュー

aoitaku
aoitaku
2010年3月読了
多人数の一人称視点を交互に展開するやり口は、ふつう群像劇で、それぞれのドラマを描き、最後に集約するというのが多いんだけど、そうであるべきかというと、そうではない。

コレクターという話は、章の変化をもって登場人物の視点を変え、隠されたテーマを描きだした。
視点が変わることで、見えなかったものが見えてくるという効果は、CARNIVALも巧みに使っていた。

比重に偏りがあってはいけないかというと、それは群像的な先入観でしかなく、作品のテーマでいえば、だれも主役ではない。
というか、だれ一人上手くは行っていない。
根本的に絶望は拭い切れていないのだ。
それでも確かにおのおのが変化しつつある。はたしてそれは希望だろうか。変わることがいいかどうか誰にもわからない。
ただ、たぶん、みんな、それぞれが幸福と価値を手に入れたんじゃないかと思うんだよね。
渇望しても決して手の届かないなにかではなく。
変化なのか成長なのか諦めなのか。
必ずしも希望あるものじゃないかもしれないけど。
まあまあそんなに悪いことじゃないと思うよ。

で、変化を描きだす上で交互にべつの視点が展開されるのが効果的だよというわけで、当真や蓮井にすっきりしないものを覚えた人は、最初から読み返してみるといいと思う。

第九シリーズは前二作もよかったのであわせてぜひ。

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