メニュー
絶望同盟 (一迅社文庫)

絶望同盟 (一迅社文庫)

十文字 青

この本の所有者

1人が登録
159回参照
2010年3月1日に更新

書籍情報

ページ数:
286ページ
参照数:
159回
更新日:
2010/03/01
所有者:
aoitaku aoitakuさん

この本を共有する

📝 レビュー (aoitakuさんのレビュー)

評価:
5/5
レビュー:
多人数の一人称視点を交互に展開するやり口は、ふつう群像劇で、それぞれのドラマを描き、最後に集約するというのが多いんだけど、そうであるべきかというと、そうではない。

コレクターという話は、章の変化をもって登場人物の視点を変え、隠されたテーマを描きだした。
視点が変わることで、見えなかったものが見えてくるという効果は、CARNIVALも巧みに使っていた。

比重に偏りがあってはいけないかというと、それは群像的な先入観でしかなく、作品のテーマでいえば、だれも主役ではない。
というか、だれ一人上手くは行っていない。
根本的に絶望は拭い切れていないのだ。
それでも確かにおのおのが変化しつつある。はたしてそれは希望だろうか。変わることがいいかどうか誰にもわからない。
ただ、たぶん、みんな、それぞれが幸福と価値を手に入れたんじゃないかと思うんだよね。
渇望しても決して手の届かないなにかではなく。
変化なのか成長なのか諦めなのか。
必ずしも希望あるものじゃないかもしれないけど。
まあまあそんなに悪いことじゃないと思うよ。

で、変化を描きだす上で交互にべつの視点が展開されるのが効果的だよというわけで、当真や蓮井にすっきりしないものを覚えた人は、最初から読み返してみるといいと思う。

第九シリーズは前二作もよかったのであわせてぜひ。

ログインが必要です

この本をレビューしたり、読書進捗を記録するにはログインが必要です。

ログイン

AIが見つけた似た本

「絶望同盟 (一迅社文庫)」の文章スタイル、テーマ、内容を分析し、 類似度の高い本を10冊見つけました

75.7%
七つの黒い夢 (新潮文庫)

七つの黒い夢 (新潮文庫)

乙一

天使のように美しい顔をした私の息子。幼稚園児の彼が無邪気に描く絵には、想像を絶するパワーがあった。そしてある日―。乙一の傑作「この子の絵は未完成」をはじめ、恩田陸、北村薫、岩井志麻子ら、新感覚小説の旗...

19人 4
75.4%
青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

桜庭 一樹

東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者(アウトロー)だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の“クラブ誌”があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が...

10人 5
74.8%
紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)

紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)

片山 憲太郎

揉め事処理屋を営む高校生・紅真九郎のもとに、とある少女を守るという依頼が舞い込んできた。少女の名は、九鳳院紫。世界屈指の大財閥の御令嬢。詳しい事情を聞かされぬまま、真九郎は紫との共同生活を開始。彼女の...

6人 5

グローバル検索

ReadNest全体から本やレビューを検索します