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ニュルンベルク軍事裁判〈上〉

ニュルンベルク軍事裁判〈上〉

ジョゼフ・E. パーシコ

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レビュー

はるな
はるな
2011年11月読了
日本はナチス全体に関しては研究書から娯楽本の類まで数多く存在しているのに、ニュルンベルク裁判を題材とした物は少ない気がする。日本には東京裁判があるし、ニュルンベルク裁判の被告に大物が少ないのも原因か。

そんな中で、この本は数少ないニュルンベルク裁判物では断トツに面白い。翻訳物だけど、文体もいいかんじ。研究書ではなくて娯楽本だけど、いい意味でニュルンベルク裁判のエンターテイメント性が浮き彫りになっている。

群像劇といった趣だけど、ロバート・ジャクソンとゲーリングが主役級かな。あとはシュペーア、フランク、アンドラス大佐あたりはよく出てくる。

ただ、ジャクソンは主役としての魅力に欠けている。アンドラス大佐もそうだけど、正義感に溢れて熱血漢、いかにもアメリカンヒーロー的な性格の割には能力が見合わずから回っている役どころ。

資料の多さなども関係しているのだろうけど、一概にしてナチス側の人々の方が人物描写が生き生きとしている感じ。とくにゲーリングは、まさにイメージ通りのゲーリング。クレバーな反面異様に子供っぽいあたりが。シュペーアに関しては聡明で常識的な反面、どことなく信用のおけないキャラクターといったかんじ。

上巻では終戦直後から裁判の序盤までが舞台のこともあって、まだまだ悲壮感も薄く、コミカルな趣すらある。やっぱりゲーリングと、あれこれジャクソンの邪魔をするビドル、アンドラス大佐なんかはそのあたりに一役買っている。





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