みんなの評価
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レビュー
トルコ、カフカース、中央アジアのムスリム・ナショナリズムとボリシェヴィズムの関係を論述した、かなりアカデミックな内容の本です。
一見すると、無神論のボリシェヴィズムとムスリムは単なる対立関係にある思われますが、実際は相互の思惑により複雑に入り組んだ関係を成していました。ロシア革命は、ロシア内外のムスリム・ナショナリストにとっては、独立への好機であり、ボリシェヴィキはヨーロッパ帝国主義に抗する同盟者とも思われていました。一方、ロシア・ボリシェヴィキにとっての東方のムスリム世界は、革命を広める対象であり、かつ帝政ロシア以来の殖民地支配の対象でもありました。
当初は接近・協力から始まったムスリム・ナショナリズムとロシア・ボリシェヴィズムですが、やがて相互の思惑の違いが明らかになり、離反・対立へと変化していきます。ソ連邦の構成国となったイスラーム諸国は、この矛盾を内部に抱え続けていき、ソ連邦の崩壊後には、再び政治的不安定要素として浮かび上がってきます。
文庫本とはいえ、学術的な著書であり、決して読み易くはありませんが、イスラームとロシアの関係を知る上で欠かせぬ著書に間違いありません。
一見すると、無神論のボリシェヴィズムとムスリムは単なる対立関係にある思われますが、実際は相互の思惑により複雑に入り組んだ関係を成していました。ロシア革命は、ロシア内外のムスリム・ナショナリストにとっては、独立への好機であり、ボリシェヴィキはヨーロッパ帝国主義に抗する同盟者とも思われていました。一方、ロシア・ボリシェヴィキにとっての東方のムスリム世界は、革命を広める対象であり、かつ帝政ロシア以来の殖民地支配の対象でもありました。
当初は接近・協力から始まったムスリム・ナショナリズムとロシア・ボリシェヴィズムですが、やがて相互の思惑の違いが明らかになり、離反・対立へと変化していきます。ソ連邦の構成国となったイスラーム諸国は、この矛盾を内部に抱え続けていき、ソ連邦の崩壊後には、再び政治的不安定要素として浮かび上がってきます。
文庫本とはいえ、学術的な著書であり、決して読み易くはありませんが、イスラームとロシアの関係を知る上で欠かせぬ著書に間違いありません。
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