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エレクトラ―中上健次の生涯 (文春文庫)

エレクトラ―中上健次の生涯 (文春文庫)

高山 文彦

2人が登録
1件のレビュー

レビュー

zooko012
zooko012 2015年11月読了
若い時に「枯木灘」(大傑作)を読んで心底たまげて、その熱量に圧倒された。中上健次。被差別部落に生まれ、三人の父を持ち、兄は自殺。酒を飲んでは暴力を振るうことでも有名。借金をしつつ、故郷熊野に尽くした。小説家としての業を背負った私小説的物語作家であり、いわば村上春樹の対極的存在である。

本書は、そんな中上健次の生涯を、中上健次を支えた人達に対する丹念な取材と小説の読み込みで、愛情を込めて、丁寧に描写する。若い頃のジャズバーでの放浪時代、結婚や子との関係は本書ではじめて知った。その大きな体に抱える、論理性を凌駕する、熱量と攻撃性と優しさと甘えと矛盾。やはり、中上健次は、心をざわつかせる小説家であることを改めて認識した。なお、著者の力点の置き方から察せられることだが、「枯木灘」と「紀州 木の国・根の国物語」が中上健次の頂点だとの点には全く同感である(だからこそ、その後が痛々しいのだが・・・)

直近の村上春樹のロングインタビュー(MONKEY所収)にあったが、若い時に、中上健次と対談をしたことがあったとのこと。両局にある両者の対談。読みたい・・・。何が語られていたんだろう?いずれにせよ、あれも文学、これも文学。面白い。

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