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暗色コメディ (文春文庫)

暗色コメディ (文春文庫)

連城 三紀彦

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レビュー

ぼんぼん
ぼんぼん
2008年7月読了
本格モノを読んだのが久しぶりなせいもあってか、あぁ、くらくらする。
読み終わってどっと疲れを感じました。
酔いました。(もちろんいい意味で)
 
終盤までは人間心理の謎を追うサイコホラーっぽい雰囲気だったのが、たった一つのほころびから一転本格推理モノに変わってしまう様はすごいなぁと感服しました。
もう一人の自分が自分を殺そうとしている妄想に取り付かれた女、消えるはずの無いものが次々に消失していく妄想に取り付かれた男、一週間前に死んでしまった自分、いつのまにか妻が他人にすりかわっていた医者。
この4つの謎がこんなふうに帰結するとは!
やや強引かなと感じた部分はあったけれど、その強引な偶然も含めて、人ってこんなにも簡単に心の平衡を失ってしまうんだなっていう恐怖も感じました。
また、登場人物たちが皆なにかしらの妄想や強迫観念に執りつかれているように見えて、誰の見ている世界が正しいのか、誰の言葉が真実なのか、わけがわからなくなったりもしました。
ん?これ違うんじゃない??これもまた妄想??なんて裏をかき出したら止まらない。そして自分の立ち位置(誰の視点で物語を読めばいいのか・・・)が分からなくなって、ぽーんと放り投げられて、うわぁ自分もこの物語の登場人物たちと同じ、バランス失ってるやん!って気づいてしまったときの恐怖。
やられました。圧巻です。

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