みんなの評価
3.8
5
4
3
2
1
レビュー

三島屋のおちかが不思議な話を聞くと言う設定のシリーズ。表題作ほか、全6話だが、小雪舞う日の怪談語りは、趣向を変えて、おちかが百物語を聞きに行くと言う話で、その中に4話含まれている。くりから御殿は、子供の頃、山津波で両親や友達を亡くした男の妻にも言えぬ思いが起こさせる不思議で、周囲の人々の優しさが泣かせる。表題の泣き童子は、ちょっと怖い話。悪事を見抜く赤子の話だが、人の良心と言う見方もできる。まぐる笛は、荒神を連想させる怪物の話。普通の人にはかなわない相手にむざむざ殺されるよりは立ち向かう技があった方が良いのか。立ち向かう危険と襲われる危険は、どちらが大きいのか。ヒーローものの裏側のような煩悶が興味深い。節気顔は、死人に会う話。亡くなった人がある日ひょっこり現れたらどんなだろう。死に目に会えなかった人が現れたら、やはり嬉しいかもしれないなと思う。
読書ステータス
読了
10人
読みたい
2人