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マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)

冲方 丁

3.7
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レビュー

机龍之介
机龍之介
2011年7月読了
 「俺は、社会的に有用であることを証明し続けることで、ようやく生存が許されている」
 バロット、ウフコック、ボイルド、シェル、イースター・・・。卵の物語。証明するためにみんな回り続ける。愛とか存在意義とか、あるいはそれ以外の何か。極端な境遇の物語でありながら、少女と万能ネズミのよくあるタイプの心の交流物語ともいえる。人間誰しも、愛していること、愛されていること、幸せであること、満たされていること・・・あらゆる事物に対して証明を求め、安心していく。その意味で、当たり前と思われていることは、当たり前ではないということが提示され、それを意識的、無意識的に理解している皆さんがどうのように自分を救っていくかが焦点になるのかもしれない。だから少女の成長物語とは少し違う気がする。
 そうはいっても物語はイントロダクション。ボイルド、シェルあたりの内面の掘り下げ方で、最終的な評価は変化していくだろう。

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