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マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)

冲方 丁

4.3
11人が登録
1件のレビュー

この本について

少女は戦うことを選択した―人工皮膚をまとい、高度な電子干渉能力を得て再生したパロットにとって、ボイルドが放った5人の襲撃者も敵ではなかった。ウフコックが変身した銃を手に、驚異的な空間認識力と正確無比な射撃で、次々に相手を仕留めていくバロット。しかしその表情には強大な力への陶酔があった。やがて濫用されたウフコックが彼女の手から乖離した刹那、ボイルドの圧倒的な銃撃が眼前に迫る。緊迫の第2巻。

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レビュー

机龍之介
机龍之介
2011年7月読了
「人間は、どんなものにも本当は価値などないことを心の底では知っている」

 価値がないから、みんながみんな、有用性を証明しようと必死になっている。有用性が認められているかぎり価値は存在するから。その有用性は誰に認めて欲しいのか?誰が認めるのか?で、バロット、ウフコック、ボイルド、イースター博士、シェル・・・あらゆる人物の立ち位置と人生の歩み方が変わっていく。
 この本を読み終えた私だってそうだし、この文章を読んでるあなただって同じだろ?当たり前のことだけど、必死になって〝走る〟登場人物の物語に妙味が出ている。走った先で、新しい有用性の対象を発見し、違う立場の人物たちが、それぞれに成長ととらえたり、逸脱と評価したりしてまた走り出し始めている。悩みや戸惑いを背負って。背負うモノを捨てられたら楽園の住人かもね。
 そんな物語の中盤戦。カジノのあたりの精神戦はかなりの盛り上がる山場だった。

「マリッジブルーってしってるか、ウフコック?」
「なんだ、それ」
「一度決めたことについて、後からぐだぐだぬかすことさ。個人的な感情がどうとか、自分は大丈夫なのかとか、何が必然で何が偶然なのかとか、そういったことをだらだら考えるんだ」

読書ステータス

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