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ラディカル・ヒストリー―ロシア史とイスラム史のフロンティア (中公新書)

山内 昌之

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northeast57
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2010年9月読了
 ロシアおよびソビエトが、カフカスや中央アジアのテュルク・イスラム圏諸民族とどのように係わってきたのかが、主な主題です。

 両者は、古くから言わば「ロシア=テュルク政治経済圏」を形成しており、単純な「支配=被支配」の関係にあったわけではありませんでした。それが、やがてロシアの拡大によるカフカス支配、中央アジア支配を通して、ロシアの視点から見た、遅れた東洋としてのイスラム地域支配の正当化へと変化していきます。特にロシアの文学作品を通じた、ロシア人のイスラム観の分析は非常に興味深いものでした。

 革命後のソ連においても、基本的にこの関係は変わらず、中央アジアの分断支配(テュルク系諸民族の人為的な形成による分断)と、ソ連内分業化政策によるモノカルチャー経済化等が、貧困と権威主義的政治体制をもたらします。

 ソ連体制化では、公式的には表面化することの無かったこの問題は、ペレストロイカ政策以後、ソ連の抱える重大な民族問題として明らかになってきます。そして、ソ連崩壊後の現在に至るまで、チェチェン問題や中央アジア諸国間の民族紛争など、ロシアにとっての不安定要因となり続けています。

 それまであまり意識されてこなかった、ロシア史とイスラム史の接触に焦点を当てて歴史を叙述したことから、本書のタイトルが「ラディカル・ヒストリー」となったのです。

 ソ連崩壊前の古い著作ではありますが、ロシアとイスラムの係わりとその影響をコンパクトに知ることができる好著だと思います。さらに同様の主題をあつかった同著者のその後の著作を読んでいけば、より理解を深めることもできるでしょう。

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