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蒼い時 (集英社文庫 126-A)

蒼い時 (集英社文庫 126-A)

山口 百恵

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レビュー

ぼんぼん
ぼんぼん
2008年8月読了
山口百恵さんのファンだった母親の、「百恵ちゃんはすごかった!あんなスターはもう現れない」という主張(なにかにつけて主張する)がずっと頭の片隅にありまして。
この本が復刊されてたのを知って、どんなもんかいな?と軽い興味を持って読んんだのですが・・・。当たる光が強い分だけ、影も濃い。
「週刊誌のスクープがきっかけで自分の出生の真実を知った」という壮絶なエピソードから始まって、父親との泥沼の戦い(毒親!)、マスコミへの不信感、裁判、事務所社長との確執、同年代のアイドルへの友情&メラメラなライバル意識、初体験・・・などなど、なんとも衝撃的な本でした。これも読み進めるのに労力がいった。
21歳のアイドルが書いた本だとは思えない、なんつーか決死の一冊。覚悟の一冊。魂の一冊。そんな印象を受けました。
全編を通して感じたのは、静かな怒りと矜持と反骨心、かな。
彼女が大人びて見えたのは、誰よりも早く大人にならざるを得ない環境に生きていたからなのかも。クールなあの瞳は、自分を守るためのものだったのかも。
  
『越境者 松田優作』を読んだときにも感じたことなのだけれど、たとえどんな天才でも「自分」という壁にはどこかでぶち当たってしまうのかなぁ。
松田優作は、自分がこうありたいと思う人物像にとことんこだわった人だけれど、山口百恵は「自分らしくあること」に一番こだわった人なのだと思いました。こだわりすぎて力みすぎて、「自分」に縛られてしまう。人間ってむずかしいな。
 
そんな衝撃と複雑さが残った本でしたが、友和さんへの恋心(好きすぎて踏み出せない!)とか、髪型がうまくいかなくてしょぼーんなんていう女の子らしいくだりにはほっとしました。共感できたし、すごくカワイイ女性だなって思いました。
小さいけれど大切な部分を失くさなかったからこそ、たくさんの人の心を掴む事ができたのかな。

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