みんなの評価
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レビュー
林望先生訳源氏物語の第1巻。桐壺、帚木、空蝉、夕顔、若紫を収録。訳文は読みやすく、すらすら読める。難関の和歌にはきっちり訳がついていて、分かりやすい。帚木の最後の方で、閨の中にまで連れ込まれながら操を守り通す空蝉はなんて意志が強いのだろうと思うが、自分が逃げたら軒端の荻がどうなるか分かるだろうに、その無責任さや、最後に関係を持たなかったことを残念がったりするところを読むと、そうばかりではないなんだか妙に人間味を感じる。素直に源氏を受け入れた軒端の荻はどうでも良くなり、なかなか受け入れない空蝉には執着すると言うのも分かる気もするが、困ったものだ。その性癖は、後々六条御息所の執心と言う形で源氏を生涯に亘って苦しめるのだが、それも因果応報と言うものか。夕顔と初めて契る辺りは省略されていて、物足りないが、夕顔との関係の要点ではないと言うことか。やはり、物語にはメリハリが必要なのだろう。
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