みんなの評価
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レビュー
林望先生訳源氏物語の第8巻。匂兵部卿、紅梅、竹河、橋姫、椎本、総角を収録。紅梅は按察使大納言の話、竹河は玉鬘の話なので少し趣が異なるが、源氏亡き後のいわゆる宇治十帖である。独立した巻があるので匂宮を中心にするのかと思いきや、源氏の息子(と言うことになっている)薫を中心に展開する。出生の秘密から出家志向の薫が、同じような八の宮に惹かれて通い出すところから話は始まり、出家しか頭になかった薫が大君に惹かれるが、恋愛に不慣れな二人は結局うまくいかない。薫の行動は相手のことを思ってむしろ好ましいのだが、薫に惹かれながらも父親の言葉や世間の評判、妹への配慮などにがんじがらめになって何もできない大君のことを考えると、強引に契ってしまえば死なずに済んだのではと思ってしまう。この心のすれ違い、うまく運ばない状況に読者を悶えさせるというのが、作者の意図なのかもしれない。話の展開の上で和歌が重要な役割を果たしている。林先生の丁寧な訳で意味はなんとか追えるものの、これはうまいとか気品が高いとかいうことを感じ取るのは難しく、完全に理解したとは言えないのだろうなと感じてしまう。
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