みんなの評価
3.6
5
4
3
2
1
レビュー

東野圭吾らやっぱり先が読めず、物語がテンポ良く進んで行くから読んでいて楽しいし、続きが気になって仕方がなくなる。
子供ができなかったら一年で別れるというルールの上で成り立った夫婦と、その夫の元恋人、不倫相手が絡んで起こった殺人事件。
しかし、犯行当時妻は北海道にいてアリバイも完璧。さらに毒の混入方法も一切不明の完全犯罪。
しかし、刑事の女の感とガリレオの論理的、科学的検知から少しずつ事件を解明していくもの。
虚数解、つまり科学的には可能であるが、それを実行することは極めて困難で現実的ではない方法によって今回の犯行が行われた。一年以上前から仕掛けを施し、この一年の間殺さないように注意を払っていた妻。本来はどうやって殺すかについて苦心されるはずが、どうやって殺さないかについて一年もの間注力されてきた。動機は不倫を知ったからの恨みではなく、もしかしたら子供ができなくても愛情があれば結婚生活が続くかもといった願いからきたものであり、結婚を決めたときから計画されていた殺人。
いつも想像を裏切ってくれて、最後に怒涛の解決が展開され面白い。
子供ができなかったら一年で別れるというルールの上で成り立った夫婦と、その夫の元恋人、不倫相手が絡んで起こった殺人事件。
しかし、犯行当時妻は北海道にいてアリバイも完璧。さらに毒の混入方法も一切不明の完全犯罪。
しかし、刑事の女の感とガリレオの論理的、科学的検知から少しずつ事件を解明していくもの。
虚数解、つまり科学的には可能であるが、それを実行することは極めて困難で現実的ではない方法によって今回の犯行が行われた。一年以上前から仕掛けを施し、この一年の間殺さないように注意を払っていた妻。本来はどうやって殺すかについて苦心されるはずが、どうやって殺さないかについて一年もの間注力されてきた。動機は不倫を知ったからの恨みではなく、もしかしたら子供ができなくても愛情があれば結婚生活が続くかもといった願いからきたものであり、結婚を決めたときから計画されていた殺人。
いつも想像を裏切ってくれて、最後に怒涛の解決が展開され面白い。
「容疑者Xの献身」以来となるガリレオシリーズの長編作。
湯川すらもが認める完全犯罪がどんなものなのかと気になっていたが、成程、確かに限りなく完全犯罪に近いトリックではあった。。。。ただ、些か地味な気がしないでもないし、湯川が導き出した「虚数解」の通り、現実的にはありえないと思うような展開だけに"意外性"はあったけど、インパクトには欠けた感じかと。。。
…まぁ、だから"救済"なのか、、、って事には納得した。
今回もハッキリ言えば、物理学はあまり関係がない!これは「容疑者Xの献身」以降に見られた傾向ではあるが、犯人の動機も含めて感情や心理的な部分に趣が置かれている。そもそも、警察と距離を置いた湯川を引き込む材料が『草薙が恋におちた』って個人的興味からだし。。。
ただ、その観点からすると、今回はもう少し草薙を深堀してくれても良かったんじゃないかなぁ。。
草薙が抱いた恋愛感情もイマイチ浅はかなものに感じられたし、刑事としての優秀さも内海の洞察力の前に霞んでしまってて、立ち直るキッカケを作った湯川の一言もあまり重みがなかったように思う。
それでも、最初から犯人と動機は明らかにしつつもなかなか真相に辿りつかせない焦らせ方と、その間のプロセスの描き方は流石で、微妙な緊張感を保ったまま最後まで面白く読ませる!
せっかくなので、もう少し感情移入や共感ができるような動機だったりするともっといいのだが…
その意味ではやっぱり「容疑者Xの献身」を超えるのは難しかなぁ。。。
湯川すらもが認める完全犯罪がどんなものなのかと気になっていたが、成程、確かに限りなく完全犯罪に近いトリックではあった。。。。ただ、些か地味な気がしないでもないし、湯川が導き出した「虚数解」の通り、現実的にはありえないと思うような展開だけに"意外性"はあったけど、インパクトには欠けた感じかと。。。
…まぁ、だから"救済"なのか、、、って事には納得した。
今回もハッキリ言えば、物理学はあまり関係がない!これは「容疑者Xの献身」以降に見られた傾向ではあるが、犯人の動機も含めて感情や心理的な部分に趣が置かれている。そもそも、警察と距離を置いた湯川を引き込む材料が『草薙が恋におちた』って個人的興味からだし。。。
ただ、その観点からすると、今回はもう少し草薙を深堀してくれても良かったんじゃないかなぁ。。
草薙が抱いた恋愛感情もイマイチ浅はかなものに感じられたし、刑事としての優秀さも内海の洞察力の前に霞んでしまってて、立ち直るキッカケを作った湯川の一言もあまり重みがなかったように思う。
それでも、最初から犯人と動機は明らかにしつつもなかなか真相に辿りつかせない焦らせ方と、その間のプロセスの描き方は流石で、微妙な緊張感を保ったまま最後まで面白く読ませる!
せっかくなので、もう少し感情移入や共感ができるような動機だったりするともっといいのだが…
その意味ではやっぱり「容疑者Xの献身」を超えるのは難しかなぁ。。。

ガリレオシリーズ第5段。
湯川や草薙、内海など登場する顔ぶれにも個性が際立ち、個々の意地であったり譲れない部分というのが目立ってきた。
本作では草薙と内海はそれぞれ異なる捜査経路にたつ。その中で内海は湯川を頼り、ついに物理学准教授も捜査へ関わっていく。
本作は小説ならではの読み手の思い込みを利用したトリックと、犯罪が起こることに対する先入観を巧みに操った殺人とで構成されている。
これ程までに突飛なトリックを私は見たことがない。
もしこれが現実に起こったとしたら、もちろん警察には暴けないだろうし、仮に暴いたとしてその報道を見ても俄かには信じ難い。
なぜなら犯罪は衝動的に起こるものだと信じているし、計画的にしろ短期間の出来事だと思い込んでいるからだ。
本書ではまさにこの「思い込み」を利用した。
さらにこの一冊では、著者の技術が光っている。
特に1章と2章の繋ぎ、そして1章と犯人の自供を描いた章のリンクが素晴らしかった。
加えて本書の特徴であるが、読者にとって犯人が誰か、ということは問題ではない。なぜなら1章において既に判明しているからだ。
しかしその事実を知ってなお、犯行の詳細、当日のアリバイ、トリックの不可解さが知れるたびに、本当に犯人はあの人なのか、と疑問を抱かずにはいられない。
なぜなら殺人とはこういうものだ、と「思い込み」しているからだ。
犯人である真柴綾音の殺害動機は結果、詳細には語られなかった。
それは先天的な異常を貶された屈辱なのか、親友の恋心を弄んだ復讐なのか、親友に対する罪滅ぼしなのか判然としないが、確固たる殺意というものが存在し続け、それは風化することなくあの言葉を聞くたび、より強固なものになったのではないか。
あの「子供を産めない女はいらない」という言葉を。
とにかく面白かったし、様々な憶測を立てては見事に崩壊していくという小説の醍醐味を十二分に感じられた作品であった。
文庫化しているガリレオシリーズは残り、次作の「真夏の方程式」だけだ。
これを読んでガリレオシリーズは一時休憩とする。
ネタバレ
結婚前に「子供を産めない女はいらない。タイムリミットは一年だ」と言われ、その時に殺害を決意。浄水器に亜ヒ酸という毒を仕掛け、タイムリミットまでの日々を誰にもキッチンに近付けることなく過ごした。
そんな彼女にとって犯行は家を留守にするだけでよかった。そうすれば夫が勝手に浄水器を使い、勝手に死ぬ。
確固たる殺意が仕掛けた時間の「思い込み」を利用したトリック。
湯川や草薙、内海など登場する顔ぶれにも個性が際立ち、個々の意地であったり譲れない部分というのが目立ってきた。
本作では草薙と内海はそれぞれ異なる捜査経路にたつ。その中で内海は湯川を頼り、ついに物理学准教授も捜査へ関わっていく。
本作は小説ならではの読み手の思い込みを利用したトリックと、犯罪が起こることに対する先入観を巧みに操った殺人とで構成されている。
これ程までに突飛なトリックを私は見たことがない。
もしこれが現実に起こったとしたら、もちろん警察には暴けないだろうし、仮に暴いたとしてその報道を見ても俄かには信じ難い。
なぜなら犯罪は衝動的に起こるものだと信じているし、計画的にしろ短期間の出来事だと思い込んでいるからだ。
本書ではまさにこの「思い込み」を利用した。
さらにこの一冊では、著者の技術が光っている。
特に1章と2章の繋ぎ、そして1章と犯人の自供を描いた章のリンクが素晴らしかった。
加えて本書の特徴であるが、読者にとって犯人が誰か、ということは問題ではない。なぜなら1章において既に判明しているからだ。
しかしその事実を知ってなお、犯行の詳細、当日のアリバイ、トリックの不可解さが知れるたびに、本当に犯人はあの人なのか、と疑問を抱かずにはいられない。
なぜなら殺人とはこういうものだ、と「思い込み」しているからだ。
犯人である真柴綾音の殺害動機は結果、詳細には語られなかった。
それは先天的な異常を貶された屈辱なのか、親友の恋心を弄んだ復讐なのか、親友に対する罪滅ぼしなのか判然としないが、確固たる殺意というものが存在し続け、それは風化することなくあの言葉を聞くたび、より強固なものになったのではないか。
あの「子供を産めない女はいらない」という言葉を。
とにかく面白かったし、様々な憶測を立てては見事に崩壊していくという小説の醍醐味を十二分に感じられた作品であった。
文庫化しているガリレオシリーズは残り、次作の「真夏の方程式」だけだ。
これを読んでガリレオシリーズは一時休憩とする。
ネタバレ
結婚前に「子供を産めない女はいらない。タイムリミットは一年だ」と言われ、その時に殺害を決意。浄水器に亜ヒ酸という毒を仕掛け、タイムリミットまでの日々を誰にもキッチンに近付けることなく過ごした。
そんな彼女にとって犯行は家を留守にするだけでよかった。そうすれば夫が勝手に浄水器を使い、勝手に死ぬ。
確固たる殺意が仕掛けた時間の「思い込み」を利用したトリック。
読書ステータス
読了
61人
読みたい
2人