この本について
Aボタンをクリック。ぼくはテツオになる―現実への違和感を抱えた大学1年の坂上悦郎は、オンライン対戦格闘ゲーム“バーサス・タウン”のカラテ使い・テツオとして、最強の格闘家をめざしていた。大学で知りあった布美子との仲は進展せず、無敵と噂される辻斬りジャックの探索に明け暮れる日々。リアルとバーチャルの狭間で揺れる悦郎は、ついに最強の敵と対峙するが...。新鋭が描くポリゴンとテクスチャの青春小説。
みんなの評価
5
5
4
3
2
1
レビュー
ひとには、ひとりひとりにルールがある。
それは例えば横断歩道の白線を踏まずに渡るだとか、色の濃いタイルだけを踏んで歩くだとか、そういう些細なことさえ、ルールだ。
と、いうわけで、久しぶりに読んだ桜坂洋の作品は、そんな、ルールにまつわる話なのだけれど、そのひとことで済ませるにはちっとも足りない、そんな味わい深さがありました。ユニークな表現が、これまたユニークな題材を引き立たせ、ときに静かに、ときにはげしく、ときに鋭く、ネットワーク対戦格闘ゲームを舞台に、物語が紡がれていく。
主人公は、仮想現実と現実の狭間で揺れ動く迷子のような青年で、大学に進学してみたものの、意義を見出せず、かといって積極的に現実逃避することもできず、と、そんな微妙な立ち位置にあって、おそらくぼくと同世代のひとは、そういう感情とは決して無縁ではなかったと思うし、ぼくも、どうしても共感してしまう部分が多くあって、作品の空気だとか雰囲気だとかを間近に感じられて、それが幸福だったな、と思う。
物語の構成的な部分だとか、うだうだ言うより、読むが早い。ぼくが書いたわけじゃあないから、偉そうに言うことじゃないけれど、後悔も損もさせない自信がある。
***
ラノベではない。と言い切ることはできない。
この作品は、エンタテイメント性をも強く意識して書かれているからだ。
ただ伝えたいことあるいは書きたいことだけがあって、それを小説にしたんじゃなくて、読み手を楽しませるための、作り手側の工夫がちゃんと見られる。
青春小説であり、娯楽小説であり、そしてヴァーチャルな文化に触れて育ったぼくらをターゲットにしているのだから、これはある意味ではライトノベルであり、そして、同時にライトノベルではなくもある。
なので、恒例のMVP。
いっとうしょうはハシモト。次点でルイ、薙原さん。
ハシモトかわいいよハシモ……いや、まぁ、うん。読めば分かるよきっと!
それは例えば横断歩道の白線を踏まずに渡るだとか、色の濃いタイルだけを踏んで歩くだとか、そういう些細なことさえ、ルールだ。
と、いうわけで、久しぶりに読んだ桜坂洋の作品は、そんな、ルールにまつわる話なのだけれど、そのひとことで済ませるにはちっとも足りない、そんな味わい深さがありました。ユニークな表現が、これまたユニークな題材を引き立たせ、ときに静かに、ときにはげしく、ときに鋭く、ネットワーク対戦格闘ゲームを舞台に、物語が紡がれていく。
主人公は、仮想現実と現実の狭間で揺れ動く迷子のような青年で、大学に進学してみたものの、意義を見出せず、かといって積極的に現実逃避することもできず、と、そんな微妙な立ち位置にあって、おそらくぼくと同世代のひとは、そういう感情とは決して無縁ではなかったと思うし、ぼくも、どうしても共感してしまう部分が多くあって、作品の空気だとか雰囲気だとかを間近に感じられて、それが幸福だったな、と思う。
物語の構成的な部分だとか、うだうだ言うより、読むが早い。ぼくが書いたわけじゃあないから、偉そうに言うことじゃないけれど、後悔も損もさせない自信がある。
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ラノベではない。と言い切ることはできない。
この作品は、エンタテイメント性をも強く意識して書かれているからだ。
ただ伝えたいことあるいは書きたいことだけがあって、それを小説にしたんじゃなくて、読み手を楽しませるための、作り手側の工夫がちゃんと見られる。
青春小説であり、娯楽小説であり、そしてヴァーチャルな文化に触れて育ったぼくらをターゲットにしているのだから、これはある意味ではライトノベルであり、そして、同時にライトノベルではなくもある。
なので、恒例のMVP。
いっとうしょうはハシモト。次点でルイ、薙原さん。
ハシモトかわいいよハシモ……いや、まぁ、うん。読めば分かるよきっと!
この本を読んでいる人(2人)
読書ステータス
読了
2人