レビュー

zooko012
2011年2月読了
上原隆の「友がみな」シリーズの一冊であり、朝日新聞の連載をまとめたもの。読み落としていた1冊である。本書では、職場のいじめで悩むサラリーマン、性同一性障害者、脳梗塞後のリハビリに励む人、清貧の画家など計31名について記されている。他のシリーズ本と同様に、たった4頁程度の分量で、誰もが多かれ少なかれ有しているままならなさ、ままならない中でその人を支えるもの、挟持等が、大げさな言葉を全く使わずに、著者の感傷を廃して綴られるところが素晴らしい。年を重ねれば重ねるほと、打つものがあるシリーズである。上原隆は、このシリーズを、日本のポールオースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」のようなものと言っているが、確かに、その目指すところは同じである。
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