
理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)
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内容紹介

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ミステリ×ジュヴナイル=ビターな味わい。
青春ミステリといえば、真っ先に米澤穂信ですが、どうもこの路線の作品のようです。米澤穂信が好きなら、わりとオススメできる作品。
話は学園ミステリらしく、怪談が題材です。というわけなので、この「理由あって冬に出る」、の「出る」とは、幽霊のことですわね。
文化部が活動する芸術棟には幽霊が出るらしい。その謎を、放課後にわか探偵団が解き明かしていきます。
ですが、これはホラーではなくミステリなので、「理由あって」の方こそが物語の本題です。そしてこれはホラーではなくミステリなので、まぁ、つまり「正体見たり」と。理由も正体もなるほど、と腑に落ちましたが、その後で、また、なるほど、と唸らされた、と。この作品のオチはやっぱり「理由あって冬に出る」だったわけです。どういう意味かは、読んでもらうこととして。
お話の構成的には、ワトスン役の葉山視点で、ホームズ役の伊神さん(武術に通じてるところまでホームズかよ!)が推理をするというもの。伊神さんがすごくいい味出してます。ちょっと常識にかけるあたりもホームズっぽいですね。ウェイトレスが注文を取りに来たところで「結構です」の一言には思わず笑ってしまいました。
あとは、犯人役と巻き込まれ役と、なのですが、さておき、女性陣がなかなかライトノベル的で好きです。なのでMVPいきますかね。
秋野、高島先輩、と迷いましたが、やはり柳瀬さんでしょう。お見舞いのシーンはちょっとくらくらしました。このお話、シリーズ化されませんかねえ。
秋野ちゃんは、終盤のあのシーンでちょっとやられました。高島先輩はお叱りの場面が好き。叱られたい。
トリックは、面白かったですが、ちょっと二つ目の方、読めてしまいました。いや、具体的にどうするか、というところまでは分かりませんでしたから、ああなるほどそういうことか、ってところなのは間違いないんですが。
あと三つ目のミスリードはすぐ気付きました。まぁ気付いたんで、オチの味わいがその分、深かったんですけど、あれ、多分分かっててやってるよなーと。
評価に関しては、★4です。もう一つ何か欲しい!という感じ。余所でも★5ついてない理由がよく分かりました。巧いですし、文章も軽妙で好きです。でも何か物足りない。ですが、今後がすごく期待できそうです。
個人的に。
ライトノベルとミステリの両方に分類できそうですが、これはラノベ読みからは「恋愛分が中途半端」と評されそうです。が、それには異を唱えます。だってこれはミステリなんだもん。ヴァン・ダインの二十則です。というのもありますが、安易に恋愛に走らず、そうでない部分で青春の敗北感、苦さを表現してくれたところが、すごく好感が持てる、と。そういうことです。
もちろん、柳瀬さんと葉山の飄々としたやり取りなんか結構好きですよ。鈍そうで鋭そうでやっぱり鈍い葉山がとてもコミカルで。