みんなの評価
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レビュー
伊勢物語と大和物語の主要な段の現代語訳と詳細な解説。伊勢物語は能の題材にもなっているし、教科書にも出てくるので八橋、井筒、都鳥という辺りは知っていたが、まとまって読んだことはなかった。主人公は在原業平で、東下りというから旅情ものかと思っていたのに、業平は実際には東下りなんてしていなかったかもしれないと言うのが、まず衝撃だった。大和物語についてはあまり知らなかったが、伊勢物語と同じ歌物語ではあるものの、当時のサロンでのゴシップねた的なものが中心で、歌とともに、誰と誰がひっついてと言うことが重要だったと言うのが面白い。また、ついつい書かれた時代に近い室町時代の方が原作のことがよくわかっていると思ってしまう。しかし、考えてみれば伊勢物語が書かれた時代から室町時代では500年の月日が経っているのであって、近いなどとはとても言えないこと。研究が進んだ現代の方が原作についてよくわかっていること。しかし、能を鑑賞する上では、創作当時に伊勢物語がどのように解釈されていたかを考える必要があり、必ずしも現代の「正しい」解釈で理解するべきではないという話はとても勉強になった。
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