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インシテミル (文春文庫)

インシテミル (文春文庫)

米澤 穂信

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レビュー

あおみ
あおみ
2014年5月読了
映画もそうだったが、非常に勿体無い。
映画では、藤原竜也や石原さとみ、綾瀬はるか、北大路欣也といった超有名俳優を多く起用していながら、その実、彼らの評判を下げる駄作と成り果てた。
彼らの演技に魅入ることすら敵わないストーリーの杜撰さ、稚拙さに、呆れを通り越して驚いたほどだった。
しかし、小説には俳優は登場しない。
登場するのは作者が作り上げた主人公たちだ。書中の彼らには満足もなければ、大した不満もない。よくある人物像だ。偉そうな奴が虚仮にされて、舐められていた奴が真相を暴いて、煩い奴が殺されて、欲望にありのまま従う奴が陰に潜む。終始達観する人間もいる。その人物は大抵、更なる何かを抱えているものだ。
本書には見事にこんな人物が登場した。
人間としての彼らの姿が記憶に残ることはないだろう。それだけに不満もないし、満足もない。

冒頭で「勿体無い」と述べたのは何も人物像がありきたりだったからだけではない。
最大の点は、自ら用意した要素を忘れていることだ。忘れたのか、扱いに困ったのかはわからないが、提示された条件が何にも生かされない、というのは小説としてどうなのだろう。
日常ではよくあることだと思う。他人の趣味や遠い国での内乱など、「ふーん」とか「へー」としか反応できない情報が蔓延し、私たちはそんな世界で情報を取捨選択し、毎日を楽しくもつまらなくも生きている。
しかし、小説にそれがあってはいけないと私は思う。小説においての情報は、ミスリードを促す提示、終盤まで意味を持たない要件、解決の手がかりとなる条件であって然るべきなのだ。
本書では無意味な情報が多すぎた。
持て余したのか、扱う気など元々なかったのか、それは著者のみが知り得るが、私はこの点を見過ごせない。
「氷の剣」とはなんだ。なぜ10億欲しかったんだ。なぜ次回開催の主を目論む人間が参加していたのか。一見無関係なモニターの中にカップルが参加できたのか。主催者の目的とは。資金源とは。そもそも主催者は誰なのか。存在したのか。ロボットはなぜあそこまで緻密に役割をこなせるのか。
まだまだ出るが、ここでやめておこう。

文庫で500ページを越える久しぶりの長編だったのと、映画の悪評とは反対に小説は好評を博していたため、読前は楽しみにしていただけに残念だった。
この著者は私には合わないのかな。

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