ヘレナとエリザベス〈上〉―世界の女性史を塗り替えた、二人の天才企業家の生涯

P120/手紙を書くことが自分の中から悪魔を締めだす彼女のやり方だったのだ。悲しみに打ちひしがれても、ヘレナは自力で乗り越えた。

P149/エリザベスの関心は正しい考えをもった女性とともに行動することにあった。たとえ短時間でもデモ行進に参加しておけば、こう言うことができた。「女性問題にはいつも強い関心をもっています。例のデモ行進にも参加しましたのよ」

P168/結婚式さえも彼女の過密なスケジュールを狂わせることはなかった。その日も仕事にもどって午後八時まで働いてからセントリージス・ホテルで夫と落ちあい、初めての夜を迎えたのだ。

P190/「何か新しいものない？」というのがヘレナが好んで使う挨拶だったが、彼女は口先だけでなく本心からそうきいていたのだ。

P205/ヘレナは宝物を求めて蚤の市や小さな工房をめぐり歩くのがことのほか好きだった。最高の掘りだし物はこうした場所に隠れていることを知っていたのだ。