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埋み火 (双葉文庫)

埋み火 (双葉文庫)

日明 恩

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この本について

老人世帯でつづく不可解な火事。住人は“不幸な偶然が重なって”焼死した。調査を始めた若手消防士・大山雄大は、老人たちの哀しい過去と、裏で糸を引く意外な人物を突き止めるが...。雄大の胸のすくような活躍が閉塞した世の中に風穴を開ける、人気シリーズ第2弾。

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レビュー

mak246
mak246
2011年6月読了
前作の「鎮火報」に引き続いて9時5時の内勤勤務を目指すやる気のない消防士、雄大の一人称で語られる物語で普段はなじみの薄い消防士という仕事を垣間見れる作品となっている。ただ、今回は雄大のプライベート部分でのエピソードが多く、前作に比べると消防士の業務や消防隊の面々に関する描写が少なくなってしまっていたのが少々残念。一方、親友である裕二の登場の度に行われるくどい表現は前作同様で、ここまで徹底されると本シリーズの"特色"と納得して諦めるしかなくなってきた。。

ストーリーの主軸は老人宅での連続失火に疑問を抱いた雄大がその裏に隠された真実を暴くコトではあるのだが、祐二の職場である工事現場での連続放火事件などのサイドストーリーが多かったり、真相自体にはギミックと言うかひねりがなかったりで消防ミステリとしての深みはあまり感じられなかった。その分、失火を手引きしていた中学生の裕孝も絡めて「家族」「親子」「絆」そして「個人の存在」といったテーマを描いたヒューマンドラマとして仕上がっている。当然、主人公である雄大と母の民子との親子にも一つの区切りが訪れ、それまでのテーマと相成って雄大の成長への布石となっているあたりは良い展開ではなかったのかと思う。

それにしても、前作から比べると雄大も成長したもんだと。。。なんとなく正義感も強くなったし、やっと飲酒運転もやめたしで。。。

まぁ、読む前からの期待値が大きすぎた分、若干物足りなさも覚えた部分があったのは事実だが、それでも読みどころ満載で楽しめた作品だった。
ただ、このシリーズの存在を知りつつ、長らく敬遠していたのに気まぐれに今のタイミングで読んだコトには若干後悔が…
まさか、最後の最後に急な変化球で謎を残されても続きってまだないじゃんって感じで。
どーせならシリーズが出揃うまで待ってればよかった。。。

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