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相棒 (PHP文芸文庫)

相棒 (PHP文芸文庫)

五十嵐 貴久

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レビュー

mak246
mak246
2012年5月読了
土方歳三と坂本龍馬、まさかの取り合わせが徳川慶喜狙撃事件の犯人探しに奔走する!あくまで「もしも」の世界観ではあるが、一方ではちゃんとした史実に基づく人物描写や設定・背景を用いて、本筋である犯人探しに納得のいくストーリー展開が練り込まれている。そして、その展開上で幕末のオールスターキャスト達をうまく絡めるといった歴史エンターテイメント小説に仕上げられていて、十分に楽しめる作品だった!!
著者の歴史物は初だったけど、なかなか侮りがたし。。。

出てくる登場人物たちの基本的な設定は広く世間一般で知られているようなキャラクター性で、これ自体に目新しさはないのだが、逆にイメージしていたキャラクター性での土方歳三と坂本龍馬だけに、2人のやり取りについつい得心してしまう。。。
その2人が調査の為に連れだって西郷隆盛や桂小五郎等々を訪れていき、人斬り半次郎とは一触即発寸前に…
融通が利かず、あくまで京都守護職しての立場を貫こうする土方と、臨機応変に飄々と立ち振る舞う龍馬との凸凹感がなんともいえぬテンポの良さを醸し出し、難航する調査過程が面白く描かれている。
更に、2人が勤皇派・佐幕派を問わずに話しを聞いて回る人物たちの言い分も理にかなっていて、つくづく慶喜公狙撃事件って設定自体もよくできていると感心してしまった。。。

事件の解決には驚きがないものの、うまく史実と絡めた結末が用意されていて、ありえない設定にも関わらずこの辺の土方の心理描写には妙に納得させらてしまう。
とにかく、土方が龍馬を「相棒」と認めるまでの過程、そしてそれらを口にする土方の台詞のひとつひとつがなかなか良い!!
まぁ、龍馬暗殺の解釈やらでは「?」と思う部分が無い訳でもないが、それを差し引いてもこの異色の組み合わせが繰り広げる物語には楽しませてもらったんじゃないかと。。。

読書ステータス

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