レビュー

zooko012
2011年5月読了
「ムーミン」の作家トーベヤンソンが、パートナーのグラフィックアーティストのトゥーリッキ、画家の実母ハム、猫と一緒に、フィンランドの孤島グルーヴ島で毎夏を30余年暮らした、「島暮らしの記録」。写真を見ると、ホントに驚くほどちっぽけで、岩場に粗末な小屋がかろうじてのっかているだけという印象の島である。3人の個性に満ちた自我の強い芸術家が、歳を重ねてから、あえて、この厳しい孤島での共同生活を選びとった事実には、考えさせられるものがある。字が大きく、どことなく散漫な印象もあり、その意味では期待が裏切られるが、ところどころ非常に印象の強い心ひかれる記述があった。なお、トーベヤンソンの短編集も面白いというのではないが、厳しく強く透徹した自我を伺わせるものであり、読後の印象が強い。
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