この本について
福島原発の事故はすでに起こっていた?七〇年代、原子力船「むつ」の放射線漏れ事件を背景に、安全よりも巨大利権が優先される過程を鋭く衝いたドキュメント・ノベル!官僚と電力会社の主導権争い。アメリカをはじめとする諸外国の思惑。怪しい動きを見せるメディアや広告代理店。受け入れをめぐって揺れる地元と住民運動。そして下請け労働者の過酷な現実。これはすでに「戦争」なのだ。
みんなの評価
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レビュー
H. Tarkun
2011年7月読了
311後に発生した福島第一原発事故で、原子力発電を巡る議論が喧しい。私は正直、全くと言っていいほど興味がなかったが、嫌でも何らかの意見を持たざるを得ない程、事故の影響は重大である。
主な議論のポイントは、放射能の危険性、国家、電力会社の情報隠蔽体質、様々な利権、経済に与える影響、節電などの市民生活の利便性などで、科学至上vs科学懐疑、経済市場vs人道主義といった対立軸を巡り、ネットでも激しく議論が交わされる。
本書は、70年代後半の状況を描写しているが、驚くほど今日の議論のポイントを完全にカバーしている。
ミステリー小説よろしく、非常に複雑な構図が描かれており、国家や電力会社、メーカーなどの悪者が、善良な市民を騙して原子力を推進しているという類の単純な話ではないことが理解できる。
どちらかというと原子力発電に懐疑的なストーリだてであるが、当時から約30年、原発がクリーンエネルギーとして役割を担ってきたのは事実である。
ここに描かれる原子力の闇は、30年遅れで現実の脅威となるのか、それとも今回の事故を持ってしても、原子力発電はより「安全」になって推進されるのか。。
主な議論のポイントは、放射能の危険性、国家、電力会社の情報隠蔽体質、様々な利権、経済に与える影響、節電などの市民生活の利便性などで、科学至上vs科学懐疑、経済市場vs人道主義といった対立軸を巡り、ネットでも激しく議論が交わされる。
本書は、70年代後半の状況を描写しているが、驚くほど今日の議論のポイントを完全にカバーしている。
ミステリー小説よろしく、非常に複雑な構図が描かれており、国家や電力会社、メーカーなどの悪者が、善良な市民を騙して原子力を推進しているという類の単純な話ではないことが理解できる。
どちらかというと原子力発電に懐疑的なストーリだてであるが、当時から約30年、原発がクリーンエネルギーとして役割を担ってきたのは事実である。
ここに描かれる原子力の闇は、30年遅れで現実の脅威となるのか、それとも今回の事故を持ってしても、原子力発電はより「安全」になって推進されるのか。。