この本について
『さくら』で彗星のように華やかなデビューを飾った西加奈子の第4作にあたる長編小説。冬の大阪ミナミの町を舞台にして、若々しく勢いのある文体で、人情の機微がていねいに描かれていく。天性の物語作者ならではの語り口に、最初から最後までグイグイと引き込まれるように読み進み、クライマックスでは深い感動が訪れる。このしょーもない世の中に、救いようのない人生に、ささやかだけど暖かい灯をともす絶望と再生の物語。この作品で第24回織田作之助賞を受賞している。
みんなの評価
3.3
5
4
3
2
1
レビュー
軽いタッチにつられてサクサク読んでいたのですが、ぎゃふん。見事にやられました。
クライマックスがあまりにドラマチックで、笑いと涙が止まらなかった。
「きいろいゾウ」よりだんぜんこっち!
なにわのシンボル・通天閣を軸に、その土地で自分を持て余しながら人生をやりすごしている人々を描いた小説で、
主人公は失恋したばかりの女の子と、工場で働く冴えないおっさん。
二人の日々に劇的なことなどなにもなくて、ただやり過ごすように日々を生きている。
ひとことで言ってしまうと、どうしようもない日常。
そんな二人の人生が、クライマックスのある出来事で交差し、まばゆく輝く。
登場人物それぞれの人生が少しずつ交わりあって、通天閣とその周辺に生きる人々を包む大きくて暖かな光(というか笑い)になる。
どうしようもない日常も、持て余していた気持ちも、きっとこの瞬間、そしてこれからの日々を生きるためにあったんだ。
そう思いました。
通天閣から見下ろす大阪の街。
家々にともる灯の数だけ人生がある。
みんながみんなきっとカッコイイ人生を送っているわけではないけれど、
きっと輝く瞬間はいつかある。
その輝く瞬間が、涙と笑いとみっともなさと力強さにあふれているところが「いかにも大阪」で、またクスリ。
悲しみと滑稽さ、涙と笑いが同居してこそ、人生ってもんよね。
だれかと出会いつながりあってはじめて、この街は色づく。
そんな風に思えた小説でした。
大好きです。
クライマックスがあまりにドラマチックで、笑いと涙が止まらなかった。
「きいろいゾウ」よりだんぜんこっち!
なにわのシンボル・通天閣を軸に、その土地で自分を持て余しながら人生をやりすごしている人々を描いた小説で、
主人公は失恋したばかりの女の子と、工場で働く冴えないおっさん。
二人の日々に劇的なことなどなにもなくて、ただやり過ごすように日々を生きている。
ひとことで言ってしまうと、どうしようもない日常。
そんな二人の人生が、クライマックスのある出来事で交差し、まばゆく輝く。
登場人物それぞれの人生が少しずつ交わりあって、通天閣とその周辺に生きる人々を包む大きくて暖かな光(というか笑い)になる。
どうしようもない日常も、持て余していた気持ちも、きっとこの瞬間、そしてこれからの日々を生きるためにあったんだ。
そう思いました。
通天閣から見下ろす大阪の街。
家々にともる灯の数だけ人生がある。
みんながみんなきっとカッコイイ人生を送っているわけではないけれど、
きっと輝く瞬間はいつかある。
その輝く瞬間が、涙と笑いとみっともなさと力強さにあふれているところが「いかにも大阪」で、またクスリ。
悲しみと滑稽さ、涙と笑いが同居してこそ、人生ってもんよね。
だれかと出会いつながりあってはじめて、この街は色づく。
そんな風に思えた小説でした。
大好きです。
読書ステータス
読書中
1人
読了
4人