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アイネクライネナハトムジーク

アイネクライネナハトムジーク

伊坂 幸太郎

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19人が登録
2件のレビュー

この本について

ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL...。情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが作り出す、数々のサプライズ。

みんなの評価

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レビュー

Uni
Uni
2014年10月読了
ラッシュライフの様に、各編の様々な登場人物が絡み合っているので、次回読むときは登場人物を整理しながら読むとより面白いと思う。
あおみ
あおみ
2014年11月読了
本作は、6つの短編から成る長編小説だ。
異なる時間、異なる場所、異なる出会いが人と人とを繋ぎ合わせ、人生を彩っていく。
異なる時間の出来事が紡ぎ合わされていく物語はいくつも読んだことがあるし、伊坂さんの小説にもある。
しかし、同じ時間の違う場所の物語同士が繋がるというのは大変珍しいと感じた。
あとがきには書かれていなかったが、これは伊坂さんの挑戦だったのではなかろうか。

さらに、これはあとがきに書かれていることだが、1つめの話を読んで私は大変驚いた。それが恋愛をテーマにした物語だったからだ。伊坂さんの小説を全て読んでいたからこそ、テーマが恋愛というのは大変珍しいと分かる。恋愛要素が含まれているということが珍しいのではなく、恋愛を描くために作られた物語というのが珍しいのである。
しかし、人と人との繋がりが描かれていたり、自分勝手な人間味の描写があったり、洒落た台詞があったりと伊坂さんらしさは盛り込まれていたため、楽しんで読めた。

主人公が異なる5つの物語のさらに未来の結末が、最後の「ナラトムジーク」で描かれる。しかし、その結末は一つの場面でしかない。伊坂さんの小説における結末は、いつも小説における結末であり、物語における結末ではない。
そういうところが私に「小説に登場した彼らは生きているのだ」と安心感を与える。
今回の物語では特に彼らは生きていた。
自分の子どもの友人の親が昔の恋人だったり、自身の友人の友人がきっかけで新たな友人ができたり、道端で商売を営む人間にを介して多くの人が影響を受けていたり。
私が生きる世界を省みれば、それは当然のことなのだが、この事実を小説で描くのは大変難しいだろう。
膨大な内容になりかねないし、なにより物語が普遍的なものになりかねないからだ。
しかしながら、本作はそのありのままの世界を描いており、大変気持ちが良かった。
自分の世界では誰と誰が関わり、将来どんな繋がりが出来るのだろうとわくわくした。

本作は、流し読みでもう一度読んでみたいと思う。

読書ステータス

読了 16人
読みたい 3人