この本について
天才ピッチャーでスターの麻由とくらべたら、わたしは等級の劣る地味な星。でもそんなわたしの方が、素質が上だなんて...。日本プロ野球のチームに、女性選手が入団。東京レオパーズ所属の楠田栞は、左腕でアンダースローの中継ぎ投手。客寄せパンダと陰で囁かれつつも、同僚で親友の早蕨麻由と励まし合いながら、プレイに、恋に、奮闘中。プロ野球は、才能と運、その両方を掴んだ者だけが成功できる過酷な世界。時にはくじけそうになりながらも、女であることも「幸運」のひとつなのだと、栞は自らに言い聞かせている。そんなある日、栞は臨時投手コーチの雲野と出会う。雲野は言う。おまえの恵まれた体と素質を活かせ、一流になれ、と。そして、とある目標のための特別指導が始まった...。