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虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)

アルフレッド・ベスター

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レビュー

机龍之介
机龍之介
2010年7月読了
「なぜならあなたは生きているからです。あなたはきっと反問なさるでしょう。なぜ生きるのか?それはおききになりませぬよう。ただ生きることです」
 人生の不条理は生きること。復讐を目的に虎になった男が、復讐の相手は自分が人生で唯一愛した女だったことを知り、何もかもをあきらめる。不条理ドラマとしてありきたりにみえるかもしれないが、SF的ギミックがありきたりには見せないだけの魅力が存在している。
 物語は人類はテレポテーション能力を手に入れた25世紀が舞台となり、復讐相手探しや、地球を破滅に導く新型爆弾の奪い合いなどを中心に速いテンポで話は進んでいく。最終的に絶望の中で、空間、次元を超えるテレポテーションに目覚めた主人公。そして彼は人類を導く存在になる。復讐、喪失から救世主へといたるカタルシス。最終局面の彼の精神的変異の表現は一見の価値がありで、物語的に非常に完成度が高かった。

読書ステータス

読了 5人

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