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日本政治思想史―十七~十九世紀

日本政治思想史―十七~十九世紀

渡辺 浩

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レビュー

zooko012
zooko012 2016年5月読了
「多種多様な人が、不思議にもこの世に生を受け、そのつかの間の生涯において、思い、感じ、行ってきたこと-それらを知り、理解することは、これまで多くの人にとって深い喜びであった。これからもそうであろう。本書では、その歓びを分かち合うことを目指したい」。こんなにも本質をつき平易な言葉で始まる本書。

革命という形をとらずにわずか十数年で200年以上の安定していた江戸幕府が崩壊しドラスティックに体制が変更された明治維新。その理由について、本書は、儒学・朱子学をふまえての思想的展開を中心に、江戸幕府の御威光、禁裏、百姓と強訴、西欧人観、イエと性など縦横無尽に論じつつ、下級武士達の積極的自律的内部崩壊であったと、地にどっしり足をつけた論考で、鮮やかに描き出す。

極めて刺激に満ちて、志高い書物である(Amazonでも大絶賛である)。久しぶりに、頭の筋肉の奥を動かさざるを得なかった気がする。個人的なことにはなるが、思想・哲学・歴史などに(ちょっとだけれども)青臭く背伸びをして関心を持っていた学生時代の自分を思い出し、心がザワザワした。骨のある本を読まなければ、きちんと物を考えて生きていかなければ、と改めて思った。

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