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山本周五郎長篇小説全集 第十五巻 彦左衛門外記・花筵

山本周五郎長篇小説全集 第十五巻 彦左衛門外記・花筵

山本 周五郎

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この本について

「天下に、その名をとどろかすのだ!!」「嘘」と「真実」の間隙を衝く、寄想天外、抱腹絶倒の物語。逆境に克つ女性を描く秀作も。“脚注”で楽しむ、新しい周五郎。

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レビュー

Yoo
Yoo
2017年5月読了
彦左衛門外記は、天下の御意見番として有名な大久保彦左衛門が、実は主人公五橋数馬の作り出した欺瞞と言う話。筆者まで作中に登場する軽いノリで、全盛期の日本映画の時代劇はかくやと思わせる。山本周五郎作品では真面目な話を読んできたので、こんな作品もあるのだと驚く。題名は彦左衛門だが、主人公は700石の数馬で、それが11万石の大名の御息女ちづか姫を見染め、2人が結婚するまでの話である。時代は家光の頃で、彦左衛門を天下の御意見番にするのも、ちづか姫と結ばれるための策略で、それは果たされるが、彦左衛門は主人公の思惑を越えて動き始める。この辺りの、天下の情勢と個人の状況とが交錯する展開は山本周五郎の得意とするところだろう。
花筵は、それとはまったく異なる深刻な話。周五郎の最初の長編とのこと。藩内の腐敗を暴こうとする武士の妻が主人公。事がうまく運ばず、姑と逃げることになったり、挙句は逃亡先で水害にあい、我が子を亡くしたり。
題名は、逃亡先で生活の糧として始めた花筵織りで主人公が頭角を表し、主君へのお目通りを得、それが最終的な解決につながることに由来する。女性の活躍が眩しい。

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