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ハイドラ

ハイドラ

金原 ひとみ

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2010年8月読了
金原ひとみを読むのは「蛇にピアス」以来です。腕を上げたという噂なので読んでみました。なかなか面白かったけどあんまり共感できない。かなり倒錯的な恋愛小説ですね。「噛み吐き」にはゾッとしました。さすがにこれは理解できんなー。せっかく口に入れたものを吸収せずに捨てるなんてもったいない。歯磨きみたいに気安く噛み吐きしないでほしい。プチセレブ設定なので金銭感覚もおかしい。自分は新崎と縁が切れれば仕事もなくなってしまうとかいいながらタクシーばっかり乗ってる。いまのうちに貯金しなよといいたい。
早希は松木さんは傷つけることはできても新崎は傷つけられないという。なぜなら松木さんは子供の心を持ったまっすぐな男で自分の逃げ場を作らないけど、新崎は大人なので逃げ場を常に用意しているから。
新崎なんてさっさと捨てて松木さんと幸せになりなよ、と思うけど、結局自分の生き方を変えられそうもない?
少なくともリツくんはそういう風に考えているようで、松木さんと早希が付き合うのを好ましく思ってない。終盤のリツくんと早希のやり取りは緊迫感があったなあ。リツくんイヤな奴なんだけど、本能的に自分と早希は同類だって分かってるから、松木さんみたいな「健全さ」の申し子みたいな人と合うわけないだろと思うわけです。俺ら人間じゃなくて怪物なんだよ、とは言わないけど、このあたりがタイトルの「ハイドラ」(ギリシャ神話に登場する9つの首を持ったヘビの怪物らしい)の所以かな。
早希も負けてなくて、リツくんと藤崎さんの秘密の関係をズバリ指摘。意外な真相も明らかになったりして楽しめる展開になってます。最後の一文も余韻が残るなあ。

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