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一人の男が飛行機から飛び降りる (新潮文庫)

一人の男が飛行機から飛び降りる (新潮文庫)

バリー ユアグロー

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レビュー

taka_aki
taka_aki
2008年11月読了
なんつーか、こういうのは初めてかも知れない。約190本が収められた短編集。

うーーーん、どう表現すればいいのか?エログロナンセンス?

キーワードで言うと、セックス、不条理、親父、お袋、かなー。明らかに大人向けですわね。

でも、半分詩集のような感じもあったり。引っかかった作品は、
・水から出て
・ホンキー・トンク
・戯れ
・海賊
・肘掛け椅子
・キャビンで
・ダンテ
・外光派ーピーター・ルイスに
・宝
・知らない男
・列車で
・芝生

とかかなー。って、タイトルからじゃ全然内容が想像付きませんが。例えば、戯れ(Sport)の冒頭はこんな感じ:

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私は釣りをしている。赤いカヌーに乗った女の子が通りかかり、そろそろと慎重にパドルを操っていく。彼女が目の前を通り過ぎたところで、私は糸を水から上げ、もう一度力いっぱい投げ入れる。陽光と日陰のなかを毛針がすうっと飛ぶ。と、女の子の頭がぐっとうしろにそり返り、両腕が大きく広がる。パドルが宙に舞い、女の子は水中に転げ落ちる。

こいつは大勝負になるぞ、と私はすぐさま悟る。
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もう、非日常感ばりばり。そんな作品目白押し。海賊とかも結構小気味良い内容になっています。一方でまったく訳の分からないものもありますが。

ちなみに、実際には二つの作品を一冊にまとめたものです。表題の一人の男が飛行機から飛び降りる(A Man Jumps Out of an Airplane)と父の頭をかぶって(Wearing Dad's Head)の二冊。

不条理さをここまで説得できる内容に昇華させているってのには、素直に脱帽です。

読書ステータス

読了 4人