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根津権現裏 (新潮文庫)

根津権現裏 (新潮文庫)

藤澤 清造

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この本について

根津権現近くの下宿に住まう雑誌記者の私は、恋人も出来ず、長患いの骨髄炎を治す金もない自らの不遇に、恨みを募らす毎日だ。そんな私に届いた同郷の友人岡田徳次郎急死の報。互いの困窮を知る岡田は、念願かない女中との交際を始めたばかりだったのだが―。貧困に自由を奪われる、大正期の上京青年の夢と失墜を描く、短くも凄絶な生涯を送った私小説家の代表作。

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レビュー

玄蛍 勤
玄蛍 勤
2012年1月読了
西村賢太の人生を変えたという。しかし西村賢太作品に似た内容とは言えない、貧さから鬱屈した青春物語。全編張り詰めた緊張感のもと、人々の掛け合いが中々に下らなく、映えている。とにかくディテールが緻密で、人の心の動きがこれでもかとつぶさに描かれている。また、そこに偽りがなく人間味に溢れている(友人が死んだというのに服のみすぼらしさを嘆いて外に出たがらなかったり、死んだ友人の家の家主との以前のいざこざを思い出して尻込みしたり)。これを読んだ事で、西村賢太は藤澤清造の足元にも及んでいないと思えたし、それだけに西村賢太の今後に期待してしまう。

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