レビュー

zooko012
2016年2月読了
本書は竹宮恵子が、少年愛をテーマとし少女漫画に革命の風を吹き込んだ「風と木の詩」に着手し、「漫画家」になるまでのあがきもがいた時代を振り返った自伝である。自分は、竹宮恵子を読んだことは全くなかったが、同じ24年組の萩尾望都、山岸凉子を敬愛しているため、また、「トキワ荘」に対するところの「大宮サロン」に興味があったため、手にとった。その「大宮サロン」での少女漫画家達の若さみなぎる息吹・情熱に打たれるが、一番の読みどころは、大宮サロンで一緒になった天才・萩尾望都に対する羨望と嫉妬とを率直すぎるほど率直に綴っている部分。これを書けるなんて竹宮恵子は強い人だ。面白すぎて、萩尾望都の文藝別冊を読み返してしまった。