この本について
長く特派員としてアメリカ社会の変容を見つめてきた著者が、「社会の座標軸がズズッと右にずれたような変化」を感じ始めたのは一九九〇年代半ば。アメリカ国内で繰り返される不可解なテロ、中絶や同性愛をめぐる深刻な軋轢、信仰の熱心さが生み出す分極化―文化の多様性を拒む何かが、地下からはっきりと姿を現していた。現地での取材、インタビューを積み重ね、著者は、その源流が清教徒による建国思想、過激な反連邦政府意識、白人優越主義などに端を発する、「アメリカ原理主義」ともいうべき宗教右派の動きに結びついていくのを知る。
みんなの評価
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1
レビュー
著者は、アメリカ特派員の経験が長い読売新聞の編集委員。本書の主要な対象は、「宗教右派」であり、「極右」や「ネオコン」にも言及されます。
最初に「極右」の話(オクラホマ連邦ビル爆破犯や中絶反対の過激犯)から入るのは、ジャーナリストらしく、インパクトのある入り方です。その後は、「宗教右派」の話が中心となります。
著者自身によるインタビューの様子などを交えながら、現在のアメリカでの「宗教右派」の考え方と影響力の強さを解説しています。「極右」や「宗教右派」へのインタビューは、本書の説得力を大いに増しています。また、第十章で紹介される、「ヨハネ黙示録」をテーマにした小説「レフト・ビハインド」が6,500万冊以上売れているという話は、かなり不気味な印象を受けます。
歴史的背景などについてはそれ程深みがありませんが、そういった点は、研究者による著書によって補えるでしょう。最近の「宗教右派」に関する概観を知るには格好の著書では無いでしょうか。
最初に「極右」の話(オクラホマ連邦ビル爆破犯や中絶反対の過激犯)から入るのは、ジャーナリストらしく、インパクトのある入り方です。その後は、「宗教右派」の話が中心となります。
著者自身によるインタビューの様子などを交えながら、現在のアメリカでの「宗教右派」の考え方と影響力の強さを解説しています。「極右」や「宗教右派」へのインタビューは、本書の説得力を大いに増しています。また、第十章で紹介される、「ヨハネ黙示録」をテーマにした小説「レフト・ビハインド」が6,500万冊以上売れているという話は、かなり不気味な印象を受けます。
歴史的背景などについてはそれ程深みがありませんが、そういった点は、研究者による著書によって補えるでしょう。最近の「宗教右派」に関する概観を知るには格好の著書では無いでしょうか。
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