レビュー

zooko012
2015年6月読了
先日アマから41歳でプロ棋士となった今泉健司の自伝である。奨励会を年齢制限で退会となり、その後も編入試験を経て奨励会三段となるも昇進できず、瀬川についでのその後のプロ試験を経てのプロ入りである。とりわけ、奨励会三段編入後の失敗を経ても、再度立ち上がったその不屈の精神には恐れ入る。本書を読むと、いざという局面で精神面が弱くプロ入りの機会を逃してきたが、突飛な老人等を相手にすることになる介護業界を経て精神面のコントロールを学んだことが大きかったことがわかる。ただ、(人生という意味ではなく)、書籍としては、先駆者瀬川の「泣き虫しょったんの奇跡」の方が遙かに面白い。なお、両者に共通なのは、へこたれない、将棋を愛しているだけでなく、人から愛されている、ということである。