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久生十蘭「従軍日記」

久生十蘭「従軍日記」

久生 十蘭

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この本について

「小説の魔術師」が見た戦争の前線。

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レビュー

taka_aki
taka_aki
2007年10月読了
いやはや、なかなか分厚かったです。が、読んでみて、面白いなーと。

あ、久生十蘭(ひさおじゅうらん)さんの作品、読んだこと無いです。これも、表紙見て買った口で。

前半は、「なんじゃこの大人!?」って思ったのです。従軍記者として、ジャワに赴くんですけど、毎夜、いや、毎食酒飲むし、夜は、まぁ、男としてのむにゃむにゃばっかりしてるし。

でも、いろんな描写が面白いなーとも思い始めて。「ベチャ」と呼ばれる、人力三輪自転車や、密偵達の慰労会の風景、小説家だけあって、ふとした瞬間に小説のプロット「南方定期」を考え出したり。奥さんいるにも関わらず、アバンチュールになったり。

でも、後半から雰囲気は一変します。いわゆる、最前線に赴き、爆撃を体験します。

「ズン、ズズンと壕が持ち上がる。ああ、ああ、と胸の中で呻く。どんなことがあってもつまらぬ叫びをあげまいと懸命に歯を喰いしばる」

こう言った表現が多くなってきます。そして、瞼に光景が浮かんだのはこちらの記述。

「三〇〇度、曳光弾、撃て」
おれの身近から突然、赤い丸い玉が弧を描いて暗い空へ無限に飛上がって行く。赤い酸漿(ほおずき)提灯が虹のような大きな弧を描いて空の中核へ飛上がって行く。赤提灯の大きな橋だ。それはたしかにすばらしい景観であった。

言葉も無く。。

こう言った感じで読み進めて行く間に共感を持ち始め。だって、ビール好きで本好きなんですもの。

まずは、この方の本、読んでみます。

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