レビュー

zooko012
2015年3月読了
「森蘭丸は織田信長に愛されたということで、歴史に名が残った。君だって、折口信夫に愛された男として、名前が残ればいいではないか」と折口信夫に体の関係を迫られた弟子のそのセクハラパワハラの一部始終を書いた単なる告白本(文学的妙味もないと思う)。正直、このような本を書いた心理を考えると、後味が悪い。ただ、弟子に拒絶されても、通常のセクハラ事案と異なりポジションを奪うでもなく、反対にポジションを用意してやり、弟子の気持ちも顧みず、弟子に対する思いを堂々と美しい歌に残す、折口はやはり怪物。また、最後の愛弟子、岡野(「折口信夫の晩年」の著者)が折口信夫の同性愛関係をつらつらとあとがきで書いているのが凄い。