みんなの評価
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レビュー
わが国最古の説話集で、そのほとんどが仏教説話。説話の選者は、薬師寺の僧景戒で、彼らが仏教を布教する上で民衆に仏教の御利益を説くために使った説話を集めたものらしい。説話集として有名な今昔物語集にも、この日本霊異記を原典としたものが沢山あるようだ。字面を辿るだけで軽く読み流してしまっていたが、解説を読んでみて、冒頭の説話が、かなり劇的であることを認識できた。中には地獄へ行く話もあるが、集められている話の多くは現世利益、つまり生きている間に良いことや反対に悪いこと(報い)があるので、仏教に帰依した方が良いですよという内容になっている。平安時代の仏教と言うと、貴族連中が、地獄に落ちないように出家して勤行に励むというイメージだったが、民衆に布教するには力不足で、現実に利益がないと、ということなのかもしれない。もう一つ、公式に出家を許されていない自度僧をいじめると悪いことがあるという話も目立つ。これは、選者の景戒自身が自度僧だったらしく、結構我田引水な気もするが、為政者側からすれば、税を払っていた農夫が勝手に出家して乞食僧になってしまうと財政が成り立たないわけで、その辺りは容易に推測できる。気になったのは殺生に関する記述で、漁師が殺生を責められるのは可哀想であるし、それなのに病気の僧は魚を食べても大丈夫というのは納得がいかない。生き物を逃してやって善報を得るという中では、逃してもらった蟹が蛇を殺してくれて危難を逃れるという話があるが、蛇だって生き物なのだからこの場合の殺生戎はどうなっているのだろうとか、納得できない話は多い。