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ポーツマスの旗

ポーツマスの旗

吉村昭

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レビュー

taka_aki
taka_aki
2025年9月読了
『ポーツマスの旗』は、吉村昭の手によって描かれた日露戦争後の歴史的な瞬間を、当時の外相であった小村寿太郎に焦点を当てて描く一冊です。この作品は、歴史小説としての魅力だけでなく、外交という舞台裏での緊張感や駆け引きを巧みに描写しているところが特に印象的です。

物語は、通信手段がテレグラフ(電信)に限られていた時代背景をしっかりと反映し、情報伝達の重要性がどれほどのものであったかを感じさせます。現代の便利さからは想像できないような制約の中で、どのようにして国際的な合意に達するのか、その過程に引き込まれること間違いなしです。

特に、小村外相の人物描写は非常に魅力的で、彼の外交手腕や内面の葛藤が丁寧に描かれています。まだ未熟であった日本の外交技術の中で、彼がどのようにしてポーツマス会議をまとめ上げ、国の未来を切り開いていったのか、その過程は手に汗握る展開が続きます。読者は、小村の苦悩や決断に共感し、彼の成長を見守ることができるでしょう。

この本を通じて、歴史の中の一瞬を切り取った物語がどれほどの意味を持つかを再認識させられます。歴史に興味がある方はもちろん、外交や人間ドラマに関心がある方にも強くおすすめできる一冊です。『ポーツマスの旗』は、単なる歴史書ではなく、感情や思考が交錯する深い作品となっています。是非手に取ってみてください。

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