この本について
キリストや聖母とともにロマネ天使と悪を飾る鳥獣、植物、抽象文、庶民の姿、そして悪魔や異形...。聖堂の隅々にまで眼を凝らし、各々のかたちに秘められた意味とその美の本質を、達意の文章と選りすぐりの図版によって解き明かした名著。待望久しい往年の好評連載を完全収録。
みんなの評価
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1
レビュー

本書の初出は全て「みずゑ」(美術出版社)に1964年中11回に亘り連載されたもので、単行本化されるのは本書が初めてとのことです。
40年以上経っているとは言え、時には奇妙とも思えるロマネスク彫刻の背後にある、精神や技術等を解き明かす視点は、新鮮な印象をもたらします。
聖母やキリストの彫刻に関する議論も面白いのですが、本書の面白さの中心は、怪獣や鳥獣、植物など、聖堂の彫刻としても形態としても奇妙なものたちに対する議論にあると言えるでしょう。
中世の人々の世界観やキリスト教以前の宗教の影響、彫刻の彫られる場所の建築上の意味など様々な背景が解き明かされていくのは非常に面白く、楽しめます。
また、元々雑誌の連載と言うこともあって、各テーマの文章の長さも適当で読み易くなっています。
多くの写真が掲載されているのも、本書の特徴ですが、全て著者自ら撮影したものだそうです。「あとがき」には、自ら撮影した写真のみを用いる意図が説明され、納得させられました。
価格は高いですが、「待望久しい往年の好評連載」の謳い文句通りで、十分に元は取れると思います。
40年以上経っているとは言え、時には奇妙とも思えるロマネスク彫刻の背後にある、精神や技術等を解き明かす視点は、新鮮な印象をもたらします。
聖母やキリストの彫刻に関する議論も面白いのですが、本書の面白さの中心は、怪獣や鳥獣、植物など、聖堂の彫刻としても形態としても奇妙なものたちに対する議論にあると言えるでしょう。
中世の人々の世界観やキリスト教以前の宗教の影響、彫刻の彫られる場所の建築上の意味など様々な背景が解き明かされていくのは非常に面白く、楽しめます。
また、元々雑誌の連載と言うこともあって、各テーマの文章の長さも適当で読み易くなっています。
多くの写真が掲載されているのも、本書の特徴ですが、全て著者自ら撮影したものだそうです。「あとがき」には、自ら撮影した写真のみを用いる意図が説明され、納得させられました。
価格は高いですが、「待望久しい往年の好評連載」の謳い文句通りで、十分に元は取れると思います。
この本を読んでいる人(1人)
読書ステータス
読了
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