
みんなの評価
レビュー

実に多種多様な犯罪の姿を見せてくれた。
愛情の縺れ、金目当て、家族・恋人を助けるため、精神障害、正当防衛、悪を懲らしめるため、結果として罪となったもの。
弁護士である著者ならではの体験談だから成せた作品だと思う。
しかし、冒頭で述べたように約20頁で1つの話が簡潔する。そこには、読者に登場人物の人間像をより正確に伝えようという配慮や余裕がない。
だから私個人としては、この作品は小説ではなくエッセイだと感じた。
こんな奇妙な、感動した事件があったんだよ、と読者に伝えるだけの作品。そこでは登場人物の思考が限りなく排除され、淡々と事件の顛末を見せられる。
したがって物語に深く入り込むことができず、残念な想いを抱えて最後の1頁を捲った。
短編のタイトルをここに紹介したい。
フェーナー氏
タナタ氏の茶盌
チェロ
ハリネズミ
幸運
サマータイム
正当防衛
緑
棘
愛情
エチオピアの男
この中で3つを選ぶなら、
エチオピアの男
チェロ
サマータイム
だろうか。
『エチオピアの男』は努力が報われて、認められて安心したし、『チェロ』はその悲しい顛末に心が動かされた。『サマータイム』は最もミステリーらしかったので。
カニバリズムを題材にした『愛情』もよかったが、いかんせんこの話だけ9頁しかなかったので非常に残念だった。
『棘』も、ある一つの彫刻作品のその後が気になって仕方がなくなり、精神障害を引き起こし博物館監視員という仕事の最終日、その彫刻を壁に投げつける。その奇妙さ、不可解さも気に入ったが、元々その人物が超几帳面かつ潔癖性で家には家具1つないという者だったため、あまり豹変が感じられずベスト3からは外した。
この本を読んでいる人(13人)

Klapaucjusza

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