この本について
21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した―それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰にただひとり死んだはずの少女の影を見る―『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。第30回日本SF大賞受賞、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門受賞作。
みんなの評価
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1
レビュー

MP
2012年9月読了
読書メーターに感想あり。
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「でもね、みんなきっとそれに疲れてる。自分のことをいつもみんなに知らせてまわらなきゃならない社会に。自分が健康であること、健康に気を遣っていることをみんなに知らせてまわらなきゃやっていけない社会に。」
医療福祉のために自分の身体を監視するネットワークに接続している社会。監視社会の一形態。有用な技術も突き詰めていくと結局、ディストピアを作った。健康とか生命の善的なフレーズを掲げて社会や人間を抑圧していくシステムって現代社会にも結構多い。現代なんてかなり危ういバランスだけど、そこら辺は昔も未来も変わらないか。
ところで、自分の情報をいつでも開示しつづけて、信用度を引き上げ続ける社会は今すでに出来上がりつつある。原理的にはFacebookってこれだよね?mixiで一時期話題になったmixi疲れってのも情報開示疲れの亜種だろう。欧米人ってそうやって自分が自分であることを開示し続けて他人に承認されないと、精神的平穏を手に入れられないのかもしれない。他人が昔は神様っていうアイコンだったのだろうけど。神が死んだ社会だと人間同士でやるしかないわけだ。
医療福祉のために自分の身体を監視するネットワークに接続している社会。監視社会の一形態。有用な技術も突き詰めていくと結局、ディストピアを作った。健康とか生命の善的なフレーズを掲げて社会や人間を抑圧していくシステムって現代社会にも結構多い。現代なんてかなり危ういバランスだけど、そこら辺は昔も未来も変わらないか。
ところで、自分の情報をいつでも開示しつづけて、信用度を引き上げ続ける社会は今すでに出来上がりつつある。原理的にはFacebookってこれだよね?mixiで一時期話題になったmixi疲れってのも情報開示疲れの亜種だろう。欧米人ってそうやって自分が自分であることを開示し続けて他人に承認されないと、精神的平穏を手に入れられないのかもしれない。他人が昔は神様っていうアイコンだったのだろうけど。神が死んだ社会だと人間同士でやるしかないわけだ。
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