この本について
文明の発達と医学の進歩がもたらした人口の高齢化は、やがて恐るべき老人国が出現することを予告している。老いて永生きすることは果して幸福か?日本の老人福祉政策はこれでよいのか?―老齢化するにつれて幼児退行現象をおこす人間の生命の不可思議を凝視し、誰もがいずれは直面しなければならない“老い”の問題に光を投げかける。空前の大ベストセラーとなった書下ろし長編。
みんなの評価
4
5
4
3
2
1
レビュー
この本、自分が生まれる前に出たんですね。。
主人公である主婦の夫側の祖母が亡くなったところから物語は始まります。
現在の高齢化社会を見てみても、その萌芽と言うか、介護する側される側の苦悩と言うのはこの時点でもすでにあったんだなと。
描写が緻密ですが、これまでに読んだ作家さんとはまた違った雰囲気。時折ハッとさせられる描写があったり。例えば、おじいさんが花に目を留める場面:
泰山木の花は、美しかった。大きな花びらが、恐れずに雨を享けて咲いている。車が走り交う小径の上で、その白さは堂々としていた。
死に関してだけではなく、いろいろ考えさせられるのはもちろん、その折々の描写に何だか切なさを感じてしまった一冊でした。
主人公である主婦の夫側の祖母が亡くなったところから物語は始まります。
現在の高齢化社会を見てみても、その萌芽と言うか、介護する側される側の苦悩と言うのはこの時点でもすでにあったんだなと。
描写が緻密ですが、これまでに読んだ作家さんとはまた違った雰囲気。時折ハッとさせられる描写があったり。例えば、おじいさんが花に目を留める場面:
泰山木の花は、美しかった。大きな花びらが、恐れずに雨を享けて咲いている。車が走り交う小径の上で、その白さは堂々としていた。
死に関してだけではなく、いろいろ考えさせられるのはもちろん、その折々の描写に何だか切なさを感じてしまった一冊でした。