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新編 南蛮更紗 (講談社文芸文庫)

新編 南蛮更紗 (講談社文芸文庫)

新村 出

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northeast57
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2010年9月読了
 広辞苑の編者として知られる著者は、キリシタン文学の研究者としても多くの業績を残している。
 本書は大正13年に発行され大変な人気となった「南蛮更紗」(現在は東洋文庫)と翌対象14年発行の「南蛮広記」から編集された、昭和28年創元社刊「新編南蛮更紗」の復刊である。
 前半はキリシタンにかかわるエッセイ風なもの(主に「南蛮更紗」から)、後半は本格的な研究成果(「南蛮広記」から)を記したものである。
 やはり、気楽に読める前半が楽しめる。京都で発見されたキリシタン墓碑にまつわる話、京都の南蛮寺の在った場所についての推理、南蛮寺の鐘について等、80年も前の文章ではあるが、新鮮な興味を与えてくれる。
 一方、後半はかなりアカデミックな内容で、気楽に読める訳ではない。キリシタン版平家物語等のキリシタン文学が紹介される。キリシタン文学の多くは日本語習得のための教材として編まれたものであるが、広く題材をとっていることには驚かされる。
 なお、本書「南蛮録」の中で、芥川龍之介の「奉教人の死」について、(登場人物名の)「ロオランもあそこはロレンソと云うべき」と指摘しているが、芥川はこれを受けて、人物名を「ろおらん」から「ろおれんぞ」に修正したそうである。

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